相続税調査、9761件から3004億円の申告漏れ把握

国税庁がこのほど発表した相続税の調査事績によると、今年6月までの1年間(2015事務年度)において、2013年中に発生した相続を中心に、申告額が過少、申告額がありながら無申告と思われるものなど1万1935件(前事務年度比3.8%減)を実地調査し、うち81.8%に当たる9761件(同3.8%減)から3004億円(同8.8%減)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税80億円を含む583億円(同12.9%減)を追徴課税した。

実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税課各2517万円(前事務年度比5.3%減)、追徴税額489万円(同9.5%減)となる。また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1250件(同0.6%減)で、その重加算税賦課対象額は458億円(同5.9%増)。重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1250件/申告漏れ等の非違件数9761件)は12.8%(同0.4ポイント増)だった。

申告漏れ相続財産の内訳をみると、「現金・預貯金等」が1036億円(前事務年度1158億円)で全体の35.2%を占めて最も多く、続いて「土地」が410億円(同414億円、構成比12.4%)、「有価証券」が364億円(同490億円、同13.9%)、「家屋」が64億円(同54億円、同2.2%)の順のほか、「その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)」が1071億円(同1125億円、同36.3%)となっている。

一方、申告・納税義務があるのに申告しない者も後を絶たないが、無申告事案については、前事務年度より0.6%少ない863件の実地調査を行い、うち655件(前事務年度比0.9%減)から824億円(同6.0%減)の申告漏れ課税価格を把握し、53億円(同26.2%減)を追徴課税した。1件当たりの申告漏れ課税価格は9543万円と、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2517万円の約3.8倍にのぼる。

また、近年は、海外資産関連事案についても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査している。2015事務年度は、859件(前事務年度比1.4%増)の実地調査を行い、うち117件(同4.5%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格47億円(同3.6%増)を把握し、うち3億円が重加算税賦課対象となっている。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は3999万円にのぼる。

同相続税の調査状況は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/sozoku_chosa/index.htm