2025-10-28
内閣官房及び公正取引委員会は、9月30日、「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を公表した。
この指針は、2024年に行った音楽・放送番組の分野の取引慣行等の実態調査を踏まえ、芸能事務所、放送事業者等又はレコード会社(以下「芸能事務所等」という)の事業者側が採るべき行動について、17の行動指針として取りまとめたものであり、「取引の適正化のために参考となる行動例」を記載し、17の行動指針のそれぞれについて、独占禁止法上の観点から問題となり得る行為を「問題となり得る行動例」として列挙している。
芸能事務所等においては、実演家の創造性や能力が最大限発揮され、実演家に適切に 収益を還元する環境を整備する観点から、実演家との共通認識の醸成を図りつつ、この指針に示された17の行動指針に沿った対応が期待される。
公正取引委員会では、芸能事務所等がこの指針に記載されている17の採るべき行動に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがあり、独占禁止法に違反する場合には、独占禁止法に基づき厳正に対処していくとしている。
具体的な指針の内容として、芸能事務所が採るべき行動には、契約期間・協業避止義務について3つの項目(専属義務に係る契約期間の設定、期間延長請求権、競業避止義務等の規定)、移籍・独立の妨害について4つの項目(移籍・独立に係る金銭的給付の要求、移籍・独立を希望する実演家に対する妨害、移籍・独立した実演家に対する妨害、共同又は事業者団体による移籍制限等)、実演家の権利・芸名について2つの項目(成果物に係る各種権利等の利用許諾、芸名・グループ名の使用制限)、実演家の待遇・契約の透明性について5つの項目(報酬に関する一方的決定、業務の強制、契約を書面により行わないこと・契約内容を十分に説明しないこと、実演家に対する実演等に係る取引内容の明示、実演家報酬に係る明細等の明示)合計14項目が示されている。
放送事業者等が採るべき行動には、業務依頼時の十分な交渉・契約条件の書面等での明示が示されており、レコード会社が採るべき行動には、実演収録禁止条項の規定と再録禁止条項の2つの項目が示されている。
(参考)(令和7年9月30日)「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」の公表について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/sep/250930_geinoushishin.html

