国税庁 「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」を公表

国税庁は12月2日、「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」を公表した。
 
令和6事務年度においては、AIも活用しながら、あらゆる機会を通じて収集した資料情報等や申告書の分析・検討を行うことにより、調査必要度の高い法人を的確に抽出し、実地調査を実施した結果、追徴税額(法人税・消費税)の総額は3,407億円となり、直近10年で最高値となっている。
 
法人税・消費税調査について、実地調査の件数は5万4千件(対前年比▲7.4%)であり、申告漏れ所得金額の総額は8,198億円(同▲15.8%)、追徴税額の総額は3,407億円(同+6.6%)、調査1件当たりの追徴税額は6,342千円(同+15.4%)となっており、調査1件当たりの追徴税額は直近10年で2番目の高水準となっている。
 
源泉所得税調査について、実地調査の件数は6万4千件(同▲6.7%)であり、非違があった件数は2万1千件(同▲5.1%)、追徴税額の総額は404億円(同+7.8%)、調査1件当たりの追徴税額は633千円(同+15.6%)となっており、追徴税額の総額は直近10年で2番目の高水準、調査1件当たりの追徴税額は直近10年で最高値となっている。
 
また、主要な取組として、AI・データ分析の活用(税務署所管法人)、重点課題(消費税還付申告法人、海外取引法人等及び無申告法人への対応)、簡易な接触の3点を挙げている。
 
1点目、同庁ではAIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、予測モデルが判定した不正パターンに加え、申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に判断しており、調査官の知見にAIの分析結果を組み合わせることにより、効率的で精度の高い調査を実施している。
 
2点目の重点課題への対応については厳正な調査を実施し、消費税還付申告法人における追徴税額は299億円、うち不正計算に係る追徴税額は51億円となっている。海外取引法人等では、海外取引に係る申告漏れ所得は2,096億円、源泉徴収漏れ追徴税額は72億円、無申告法人では、法人税・消費税の追徴総額は355億円、うち不正計算に係る追徴税額は228億円となっている。
 
3点目の簡易な接触は、申告内容に誤り等が想定される法人等に対して、自発的な申告内容の見直し要請などを行い、法人税・消費税の簡易な接触の件数は8万5千件(同+13.4%)、申告漏れ所得金額は565億円、追徴税額は265億円となっている。
 
(参考)「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/hojin_chosa/index.htm