所有者不明土地の利用円滑化に関する特措法が成立

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が6日成立し、13日に公布された。同特措法は、所有者不明土地が公共事業を進めていく上で障害となっていることから、公共事業の実施を目的に、所有者不明土地を円滑に利用するための手続きや、土地所有者を探索するため固定資産税課税台帳や地籍調査票等を行政機関が利用できる制度の創設等を定めたもの。公布の日から6ヵ月以内において政令で定める日から施行される。

すでにこの3月に成立している2018年度税制改正では、個人が所有者不明土地の特措法の施行の日から2021年3月31日までの間に、相続による所有権の移転登記を受ける場合に、(1)その土地が相続による所有権の移転登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり、(2)土地の価額が10万円以下、の両要件を満たしたときは、相続による所有権の移転登記に対する登録免許税を免税にする措置が規定されている。

また、相続により土地の所有権を取得した者がその土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が2018年4月1日から2021年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受けるその移転登記に対する登録免許税を免税とする。例えば、祖父から親、親から子への土地相続で、祖父から親への相続登記が未了のまま親が死亡したときには、祖父から親への相続登記に係る登録免許税が免除される。

所有者不明土地とは、不動産登記簿等の公簿情報等により調査してもなお所有者が判明せず、判明しても連絡がつかない土地のこと。土地の権利関係の公示制度である不動産登記制度上、所有権の登記は第三者対抗要件であり義務化されていないため、相続登記がされずに、不動産登記簿上の登記名義人が現在の所有者でない場合も多い。公共事業等の様々な場面で、所有者の特定等に多大なコストを要し、円滑な事業実施への大きな支障となっている。

そこで、所有者不明土地に関する特措法では、所有者不明土地活用の仕組みとして、道路や河川などの公共事業で利用する場合、土地収用法の手続きを簡素化する。また、土地収用せずに、公園や広場などの公益的な事業に使う場合には、5年程度の利用権を設定し、所有者が現れなければ更新し、所有者が現れた場合は原状回復して明け渡すのを原則とするが、所有者が了解すれば利用を継続できる措置などが盛り込まれている。