2017年度査察、消費税受還付・無申告ほ脱事案を積極告発

いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。国税庁が14日に公表した2017年度査察白書によると、査察で摘発した脱税事件は前年度より30件少ない163件、脱税総額は前年度を16.1%下回る約135億円だった。今年3月までの1年間(2017年度)に、全国の国税局が査察に着手した件数は174件と、前年度(178件)を4件下回った。

継続事案を含む163件(前年度193件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち69.3%に当たる113件(前年度比19件減)を検察庁に告発。この告発率69.3%は前年度を0.9ポイント上回った。2017年度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税受還付事案(12件告発)や、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案(21件告発)に積極的に取り組み、過去5年間で最も多くの告発を行っている。

近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2017年度の脱税総額135億900万円は、ピークの1988年度(714億円)の約19%にまで減少している。1件当たり平均の脱税額は8300万円(前年度8300万円)で、ここ5年は1億円を下回っている。告発分の脱税総額は前年度を26億9100万円下回る100億100万円、1件当たり平均の脱税額は8900万円(同9600万円)となっている。

告発分を税目別にみると、「法人税」が前年度から18件減の61件で全体の54%を、脱税総額でも約57億円で56%をそれぞれ占めた。所得税は同8件減の19件(脱税総額約20億円)、消費税は同4件増の27件(同約18億円)、相続税は同1件増の3件(同約4億円)、源泉所得税は同2件増の3件(同約3億円)となった。消費税の脱税額のうち約11億円は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)のものである。

告発件数の多かった業種・取引は、「建設業」が26件(前年度30件)でトップ、次いで、「不動産業」が10件(同10件)で2位と、この1・2位の順位は前年度・前々年度と変わらない。3位は「人材派遣」の5件だった。なお、2017年度の査察は、国際事案(15件告発)や太陽光発電関連事案(7件告発)など近年の社会情勢に即した事案に対しても積極的に取り組み、多数の事案を告発している。

同査察白書の概要は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/sasatsu/h29_sasatsu.pdf