2025-09-05
東京商工会議所は、8月18日、災害・リスク対策委員会において、会員企業におけるBCP策定状況や、帰宅困難者対策、行政に望む災害・リスク対策施策等を把握するため標記アンケートを実施し、調査結果をとりまとめ、公表した。
この調査は、調査期間を2025年5月12日~5月30日とし、東商会員企業18,252件に送信し、1,352件(回答率7.4%)の回答を得たものである。
調査結果のポイントは、1.BCP策定・災害・リスク対策全般、2.地震対策・帰宅困難者対策、3.行政に望む災害・リスク対策に係る施策、4.その他(社会インフラの劣化等で特に不安な点や、危機事象対策全般について)となっており、その概略は下記のとおりである。
1.BCP策定・災害・リスク対策全般
・BCP策定率は39.5%(企業規模別では、大企業63.0%、中小企業28.0%)。防災計画・BCPいずれも未策定の中小企業は35.9%。
・BCP策定の課題では、「人員や時間に余裕がない」との回答が5割以上。
・「備えが必要だと感じるリスク」として最も回答が多かったものは「地震」で、BCP策定企業、BCP・防災計画未策定企業ともに95%を超えている。
・【新規】熱中症対策として「クールビズ」を実施している企業が69.9%、「従業員への水分・塩分補給品、冷却商品等の提供(53.6%)」「作業場所の整備(53.0%)」が続いている。
2.地震対策・帰宅困難者対策
・従業員向けに3日分以上の飲料水・食料を備蓄している企業は約5割。
・備蓄を実施するにあたり、「保管スペースの確保」が企業規模を問わず最も大きな負担となっている。(大企業78.1%、中小企業72.5%)
3.行政に望む災害・リスク対策に係る施策
・行政に強化・拡充を望む災害・リスク対策は「防災・交通施設等インフラの強化・老朽化対策」(55.9%)が最多となっており、「防災備蓄品購入補助・配布」(46.2%)、「帰宅困難者対策(36.6%)」が続いている。
4.その他(社会インフラの劣化等で特に不安な点や、危機事象対策全般について)
・上下水道等、目視できないインフラ設備の老朽化を懸念する声や、多様化・複合化する災害・リスクに対して、人員不足や情報不足のため十分な対策ができていないとの声が複数寄せられた。
また、東京商工会議所では、首都直下地震発生時に「誰が何をするか」「重点事業と必要資源」「事前準備」の3点を、最低限検討できる内容を盛り込み、事業継続に向けた取組みの第一歩として活用できるように8月18日、「超入門版BCPシート(首都直下地震編)」を公開し(※)、今後はAIを活用したBCP策定支援も予定している。
(※)「超入門版BCPシート(首都直下地震編)」
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1206988
(参考)「会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート」2025年調査結果について