経済同友会「サービス産業の持続的な成長に向けて」を提言

公益社団法人経済同友会は7月10日、「サービス産業の持続的な成長に向けて~個人が輝く産業になるために~」を政策提言として公表した。
 
まず、現状と課題として、接客サービス業(小売、宿泊・飲食サービス、生活関連サービス・娯楽、教育・学習支援、医療・福祉)は日本の雇用の約4割を占め、観光立国に向けた基盤であると同時に地域のインフラ基盤でもあるなど、重要な産業であるにもかかわらず、長期にわたる生産性・賃金の低迷によって、介護サービスを筆頭に供給制約、品質の低下が生じる悪循環に陥っていることを挙げている。
 
このような状況を踏まえ、好循環の実現に向けて多岐にわたる取組が求められるなか、今回、接客サービス業の価値創造の源泉である現場人材の主体的な能力開発と処遇改善の促進を起点として、人材流入、質の高いサービスの維持・向上を通じた生産性・賃金の向上を実現するとし、業界主体のスキル評価制度の構築に対する支援等に関し、以下のとおり政府に対し提言を行うとしている。また、介護サービスは、供給制約が産業全体の労働供給に影響を及ぼすことから、その安定供給は緊急性・重要性が高いとの考えの下、介護固有の制約の解消等について提言している。
 
【提言内容】
スキルの可視化を起点に、個人のスキル取得の促進とスキルに応じた処遇の実現を図る。
1 多様な人材が活躍できる環境づくり(働き方に関わらず能力で処遇される環境づくり)具体的な項目を3点挙げており、1点目、スキルの可視化(処遇の適正化)については、「スキル評価制度の構築・運営事例の共有」、「職業能力検定の構築・運営費用の助成」、「国家資格のアップデート・階層化」を施策として示している。
次に、個人の意欲に応じた早期のスキル取得支援(時間)として、「クラフトマン・エグゼンプション(仮称)の導入」、「検定受検資格の実務経験年数を一律勤務時間数とする」、「指導付の訓練時間を検定受験資格の実務経験年数に含めることを可能とする」を、3点目、スキル取得支援(費用)としては、「団体等検定の合格を目指す講座の運営費用の助成」、「資格取得による賃上げに対する税額控除」をそれぞれ施策として示している。
 
2 介護サービスの安定供給
施策として、「自治体向け申請・報告手続きの簡素化・標準化」、「テクノロジーの導入・定着促進」、「人員配置基準の緩和等」、「外国人の採用・定着支援」を示している。
 
(参考)「サービス産業の持続的な成長に向けて」

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2025/250710.html