「令和6年度における独占禁止法違反事件の処理状況」を公表

公正取引委員会は5月1日、「令和6年度における独占禁止法違反事件の処理状況について」を公表した。
 
令和6年度における審査事件の特徴として、規制分野における競争制限行為への厳正な対処、デジタルプラットフォーマーによる競争制限行為への積極的な対応、消費財の再販売価格の拘束事案への積極的な対処、中小事業者等に不当な不利益を与える行為への対処の4点が挙げられている。
 
独占禁止法違反行為については、延べ61名の事業者に対して、21件の排除措置命令を行っており、内訳は、価格カルテル4件、入札談合6件、受注調整6件、不公正な取引方法5件であり、これら21件の市場規模は、総額921億円超となっている。独占禁止法違反被疑行為については、3名の事業者に対して、3件の確約計画の認定(※)を行っており、内訳は、私的独占1件(競争者に対する取引妨害等を含む)、優越的地位の濫用1件、抱き合わせ販売等1件である。これらの対象事業者等は合わせて64名であるが、前年度から41名増加し、令和2年度以降で最も多くなっている。
 
上記以外に違反の疑いのある行為が認められた8件については、関係事業者に対し、事前説明を行った上で警告・公表を行っており、内訳は、事業者団体による構成事業者の機能又は活動の不当な制限1件、不当廉売2件、再販売価格の拘束2件、優越的地位の濫用3件である。
 
課徴金については、前年度から17名増加し、延べ33名の事業者に対して、総額37億604万円の課徴金納付命令を行っており、一事業者当たりの課徴金額の平均は1億1,230万円となっている。
 
また、独占禁止法の規定に違反すると考えられる事実については、同委員会に3,038件の報告(申告)が寄せられており、申告が書面で具体的な事実を摘示して行われるなど一定の要件を満たした場合には、申告者に対して措置結果等を通知することとされ、2,774件の通知を行っている。
 
なお、同委員会では、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合・受注調整について、その違反内容を自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度を平成18年1月から導入しており、事業者から自らの違反行為に係る事実の報告等が行われた件数は109件となっている。
 
※ 事業者から申請された確約計画を同委員会が認定する独占禁止法に基づく行政処分。
 
(参考)「令和6年度における独占禁止法違反事件の処理状況について」

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/may/250501_kanki.html