2025-05-27
国税庁は4月25日、「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」と題するパンフレット等を公表した。
変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)についても公表されている(確定版については、令和7年6月末の公表を予定)。※1
令和7年度税制改正により、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が行われ、原則として、令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用される。このため、令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じることになる(令和7年11月までの源泉徴収事務には変更は生じない。)。
国税庁では、【国税庁ホームページ】「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」で随時最新情報を更新するとしているため、確認しておくとよい。※2
このパンフレットには、1. 改正の概要、2. 令和7年分の年末調整における留意事項、3. 令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項、4. 公的年金等の源泉徴収事務における留意事項、が記載されている。
2. 令和7年分の年末調整における留意事項では、⑴扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認、⑵特定親族特別控除申告書の受理と内容の確認、⑶基礎控除申告書の受理と内容の確認、⑷配偶者控除等申告書の受理と内容の確認、⑸年末調整の計算をする上での留意事項、について留意すべき事項が記載されており、3. 令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項では、⑴扶養控除等申告書の記載事項の変更、⑵扶養親族等の数の算定方法の変更について留意すべき事項、が記載されている。
2. 令和7年分の年末調整における留意事項の⑵特定親族特別控除申告書の受理と内容の確認では、特定親族特別控除の適用が受けられないケースについて確認することが必要である。「給与所得者の特定親族特別控除申告書」は、国税庁ホームページに令和7年6月末頃に掲載予定となっている。⑷配偶者控除等申告書の受理と内容の確認では、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例についても、必要経費に算入する金額の最低保障額が引き上げられているため、注意が必要である。⑸年末調整の計算をする上での留意事項では、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が改正されていること、令和7年12月以後の「給与所得の源泉徴収票」が改正されており、特定親族特別控除の適用がある場合には、給与所得の源泉徴収票に特定親族特別控除額等を記載することとなる点にも注意が必要である。
3. 令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項では、⑴扶養控除等申告書の記載事項の変更で、令和8年分以後の扶養控除等申告書には、「源泉控除対象親族」を記載することとされたため、記載漏れがないか従業員等に注意喚起しておくことが必要となる。⑵扶養親族等の数の算定方法の変更では、令和8年分以後においては、「源泉控除対象配偶者」及び「源泉控除対象親族」の数を基に扶養親族等の数を算定することとされたため、この点にも注意が必要である。
(参考)令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025004-025.pdf