2025-07-04
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は、6月4日「中小企業の賃金改定に関する調査」の結果を取りまとめて公表した。
厳しい人手不足に加えて物価上昇が続くなか、中小企業も積極的な賃上げを進めているが、この調査は昨年度に引き続き、雇用の7割を支える中小企業の賃上げの実態を詳細に把握し、今後の要望活動に活かしていくために実施したものである(調査期間:2025年4月14日~5月16日、回答企業数:3,042社)。
調査結果によると、2025年度の賃上げ実施状況として、「賃上げを実施(予定含む)」する企業は全体で約7割(69.6%(前年度比4.7ポイント減))だった。賃上げ実施の内訳は、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施(予定を含む)」が27.8%、「業績の改善が見られないが賃上げを実施(予定を含む)」が41.8%となっていた。
一方で、価格転嫁の遅れや米国関税措置等による先行き不透明感を懸念する声もあり、「現時点では未定」は23.5%(同3.1ポイント増)となっており、「賃上げを見送る(予定や引下げる場合も含む)」は6.8%(同1.4ポイント増)となっていた。
中小企業の中でも20人以下の小規模企業では、「賃上げを実施(予定含む)」する企業は57.7%(同5.6ポイント減)となっており、賃上げ実施の内訳は、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施(予定を含む)」が21.5%、「業績の改善が見られないが賃上げを実施(予定を含む)」が36.2%となっていた。先行き不透明感の影響からか「現時点では未定」は31.9%(同2.9ポイント増)となっており、「賃上げを見送る(予定や引下げる場合も含む)」は10.4%(同2.7ポイント増)となっていた。
また、「前向きな賃上げ」(業績が好調・改善しているため賃上げを実施)と「防衛的な賃上げ」(業績の改善が見られないが賃上げを実施)の割合を見ると、全体では「39.9%:60.1%」、20人以下の小規模企業では「37.2%:62.8%」だった。
「防衛的な賃上げ」を実施する理由は「人材の確保・採用」、「物価上昇への対応」がともに約7割となっており、賃上げを見送る理由は「売上の低迷」と回答した企業が半数を超える(58.2%)結果となった。
賃上げ実施状況を地域別に見ると地方全体では「賃上げを実施(予定)」が約7割(69.3%)となっていたが、地方・小規模企業では、「賃上げを実施(予定)」が57.1%にとどまり、全体集計と比べ、12.5ポイント低くなっており、「現時点では未定」とする割合も3割超(33.5%)となり、より慎重な姿勢が伺える状態となっていた。
(参考)「中小企業の賃金改定に関する調査」の集計結果について