2025-12-09
財務省は、令和6事務年度(令和6年7月~令和7年6月)に全国の税関が行った輸入者の関税及び内国消費税(以下「関税等」)の輸入申告に対する輸入事後調査の結果を公表した。
輸入申告に対する輸入事後調査とは、輸入貨物に係る関税等が適正に納税申告されていたかどうかを通関後に確認するための税務調査のことであり、税関において実施されている。
実施方法は、貨物の輸入通関後、輸入者の事業所等を個別に訪問するなどして、輸入貨物についての契約書、仕入書その他貿易関係書類や会計帳簿書類等を調査し、また、必要な場合には取引先についても調査を行い、輸入貨物に係る納税申告の内容が適切かどうか確認することになっている。
また、事後調査の過程において悪質な輸入者であることが判明した場合は、犯則調査が開始され、関税等脱税事件として告発される場合もある。
令和6事務年度について調査を実施した輸入者は3,609者(前事務年度比33者増)であり、そのうち申告漏れのあった輸入者は、2,690者(同12者増)で、申告漏れの割合は、74.5%(同0.4ポイント減)となっている。
申告漏れ等に係る課税価格は1,390億7,156万円(同15.8%増)となっており、これに対する納付不足税額は、148億8,929万円(同16.1%増)となっている。
納付不足税額の内訳は、関税が9億2,797万円(同8.0%増)、内国消費税が139億6,132万円(同16.6%増)となっており、加算税等を含む追徴税額の合計は、157億799万円(同16.8%増)となっている。
納付不足税額が多かった上位5品目を挙げると、①電気機器30億4,712万円、②自動車等21億7,616万円、③光学機器等20億9,324万円、④機械類16億8,433万円、⑤医療用品10億1,313万円であり納付不足税額の約67%を占めている。
申告漏れ等が発生した要因をみると、インボイスは正しいが申告に誤りがあるものが約87%を占めており、主な申告漏れの事例としては、輸出者又は輸入者が作成した低価のインボイス等による輸入申告による申告漏れ、輸出者に無償で提供した部材の申告漏れ、インボイス価格とは別に支払う貨物代金の申告漏れ等があった。
また、取引の仮装・隠ぺいの事実があるとして重加算税が賦課された悪質な事例としては、輸入者自らが正規の価格よりも低い価格に書き換えたインボイスを作成して虚偽の申告を行った事例や輸入者と輸出者が通謀して取引価格よりも低い価格を記載した虚偽のインボイスを輸出者に作成させ、課税計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して虚偽の申告を行った事案があった。
(参考)令和6事務年度の関税等の申告に係る輸入事後調査の結果
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20251112b.html

