産科医療特別給付事業の給付金は非課税所得

国税庁は、令和7年4月24日、産科医療特別給付事業に基づき支払われる給付金の所得税法上の取扱いについて文書回答事例を公表した(※1)。回答事例において、当該給付金は非課税所得として取扱う見解が示された。
 
同事業は、従来の産科医療保障制度の個別審査において補償対象外とされた子に対し、令和4年1月の補償対象基準の見直し後に新基準を満たす場合、特別給付金1,200万円を支給する制度である。補償金の性質上、損害賠償保険契約に基づき身体の傷害に起因して支払われるものに類するため、非課税所得に該当するとされた。
 
そもそも産科医療保障制度とは、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった子供及びその家族の経済的負担に対して一定の補償をするとともに、医療事故原因の分析と将来の同種事故の防止に資する情報提供、紛争の防止と早期解決、医療の質の向上を目的として平成21年に創設されたものである。制度に基づき、分娩に係る医療事故により脳性麻痺となった子には、分娩機関から一定の補償金3,000万円が支払われることになっている。この補償金の財源は、分娩機関が加入する損害保険契約による保険金である。
 
国税庁は、補償金について、所得税法9条1項18号に該当する「損害保険契約に基づき身体の傷害に起因して支払いを受けるもの」に該当し、非課税所得とする見解を平成20年に示していた(※2)。今回の特別給付金もその趣旨に沿い、同様に非課税と扱われる。
 
給付金の申請窓口は、公益財団法人日本医療機能評価機構となっており、申請受付期間は令和7年1月10日から令和11年12月31日までとなっている(※3)。過去に補償対象外とされた子への救済措置として本事業が創設されていることから、新基準を満たす可能性がある場合は申請漏れの無いよう注意が必要である。
 
 
(参考)産科医療特別給付事業について

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b1ba8054-23a8-4ad2-94bb-d0f6e0a03c51/87740039/20250314-councils-kodomoseisaku-syukankacho-b1ba8054-3300.pdf