令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組

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公正取引委員会は、5月12日「令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」を公表した。
 
下請法の運用状況については、1 下請法違反行為に対する勧告等、2 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況、3 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案が報告された。
 
1 下請法違反行為に対する勧告等については、勧告件数が21件(平成以降で最多)となっており、指導件数は8,230件となっていた。勧告の内容には、下請代金の減額以外に一方的な発注単価の引下げ(買いたたき)や下請事業者が製造した商品の受領拒否などがあり、令和5年度に続き下請事業者に金型等を無償で保管させる行為に対し、9件の勧告が行われた。
主な勧告内容には、価格転嫁に関連するもの(減額)(生活協同組合コープさっぽろ、㈱ビックカメラ)、価格転嫁に関連するもの(買いたたき)(㈱KADOKAWA及び㈱KADOKAWA LifeDesign)、金型等に関連するもの(不当な経済上の利益の提供要請)(SANEI(株)、住友重機械ハイマテックス㈱、東京ラヂエーター製造㈱、中央発條㈱、㈱フタバ九州)、その他の行為類型(受領拒否、不当な給付内容の変更及び不当なやり直し)(㈱シャトレーゼ、カバー㈱)、中小企業庁長官からの措置請求案件(減額)(クノールブレムゼ商用車システムジャパン㈱)があり、今後、下請代金の減額を行わないことや買いたたきを行わないこと等を取締役会等の決議により確認することや下請法の遵守体制を整備することが勧告された。
 
2 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況については、下請事業者が被った不利益について、親事業者149名から下請事業者3,026名に対し、下請代金の減額分の返還等、総額13億5,279万円相当の原状回復が行われた。
 
3 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案については、親事業者からの違反行為の自発的な申出が32件あり、下請事業者525名に対し下請代金の減額分の返還等、総額3億5,328万円相当の原状回復が行われた。
 
中小事業者等の取引適正化に向けた取組については、適切な価格転嫁の実現に向けた取組と下請法改正があり、適切な価格転嫁の実現に向けた取組については、(1)下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案の提出、(2)令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査(令和6年12月)の実施、(3)買いたたき、減額などに該当する事案に対する厳正かつ積極的な法執行が実施された。
 
なお、下請法改正法案(主な改正事項一覧)は下記のとおりである。
(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)
代金に関する協議に応じない、必要な説明・情報提供をしないことによる、一方的な代金額の決定を禁止
(2)手形払等の禁止
対象取引において、手形払を禁止。その他の支払手段(電子記録債権、ファクタリング等)についても、支払期日までに代金相当額を得ることが困難なものを禁止
(3)運送委託の対象取引への追加(物流問題への対応)
対象取引に、発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引を追加
(4)従業員基準の追加(適用基準の追加)
従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分を新設
(5)面的執行の強化
事業所管省庁の主務大臣に指導•助言権限を付与。相互情報提供に係る規定を新設
 
(参考)(令和7年5月12日)令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/may/250512.html