2025-05-14
国税庁は4月25日、令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について改正の概要、令和7年分の年末調整、令和8年以後の給与の源泉徴収事務、よくある質問等を公表した。
この改正は、原則として、令和7年分以後の所得税について適用され、令和7年11月までの給与及び公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じない。
改正の概要は、以下のとおり。
1 基礎控除の見直し
(1)次のとおり、合計所得金額に応じて、基礎控除額が改正された。
合計所得金額132万円以下:95万円(改正前:48万円)
合計所得金額132万円超336万円以下:88万円(令和9年分以後は58万円)(改正前:48万円)
合計所得金額336万円超489万円以下:68万円(令和9年分以後は58万円)(改正前:48万円)
合計所得金額489万円超655万円以下:63万円(令和9年分以後は58万円)(改正前:48万円)
合計所得金額655万円超2,350万円以下:58万円(改正前:48万円)
(2)基礎控除額の改正に伴い、令和8年分以後の「源泉徴収税額表」及び公的年金等に係る源泉徴収税額の計算における控除額について、所要の改正が行われた。
2 給与所得控除の見直し
(1)給与所得控除について、55万円の最低保障額が65万円に引き上げられた。
(2)給与所得控除の改正に伴い、令和7年分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」及び令和8年分以後の「源泉徴収税額表」が改正された。
3 特定親族特別控除の創設
(1)居住者が特定親族を有する場合には、その居住者の総所得金額等から、その特定親族1人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて最高63万円を控除する特定親族特別控除が創設された。
ここで、「特定親族」とは、居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除く。)で合計所得金額が58万円超123万円以下の人をいう。
親族には児童福祉法の規定により養育を委託された、いわゆる里子を含む。
(2)令和8年1月以後に支払うべき給与及び公的年金等について、それぞれ次の場合に、特定親族特別控除が各月(日)の源泉徴収の際に適用されることとなった。
給与:親族の合計所得金額が58万円超100万円以下である場合
公的年金等:親族の合計所得金額が58万円超85万円以下である場合
4 扶養親族等の所得要件の改正
上記1(1)の基礎控除の改正に伴い、次のとおり、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件が改正された。
扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)
ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)
勤労学生の合計所得金額の要件:85万円以下(改正前:75万円以下)
また、上記2(1)の給与所得控除の改正に伴い、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が65万円(改正前:55万円)に引き上げられた。
(参考)令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について