フリーランス法違反で行政指導

公正取引委員会は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)の施行(令和6年11月1日)後、同法に違反する疑いのある行為を行っている事業者やその業種に関する情報収集を積極的に行っているが、令和7年3月28日、フリーランスとの取引が多い業種であるゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業、フィットネスクラブの事業者について集中的に調査を行い、45名の事業者に対して、契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方等の是正を求める指導を行ったと公表した。
 
指導の対象となった主な事例として、ゲームソフトウェア業5社、アニメーション制作業1社、リラクゼーション業1社、フィットネスクラブ事業者4社があげられ、事例が記載されている。
 
以下に事例の一部を記載する。
 
ゲームソフトウェア業
・B社は、オンラインゲームのイラスト制作を特定受託事業者に委託しているが、既に給付を受領していたにもかかわらず、給付を受領する期日及び報酬の額を明示していなかった。
・D社は、ゲームイラストやテキスト等の制作を特定受託事業者に委託しているが、特定受託事業者が請求書を提出した日を基準に支払期日を設定しており、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払わない場合、期日までの報酬支払義務違反となるおそれがあった。
 
アニメーション制作業
・F社は、アニメーション作品の制作業務の全部又は原画の作成、音響演出等の業務を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、検査完了日並びに報酬の額及び支払期日を明示していなかった。
 
リラクゼーション業
・G社は、整体施術の業務を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、役務の提供を受ける期日及び場所を明示していなかった。また、報酬の支払期日を「翌月10日まで」と記載しており具体的な期日を特定していなかった。
 
フィットネスクラブ事業者
・H社は、パーソナルトレーニング業務を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、報酬の支払期日を明示していなかった。また、個々の業務委託の発注時において、共通事項(基本契約書)との関連性(参照元)を明示していなかった。
・K社は、SNSの動画等の投稿業務を特定受託事業者に委託しているが、報酬の支払期日を「請求書受領月の翌月末日」と設定しており、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払わない場合、期日までの報酬支払義務違反となるおそれがあった。
 
公正取引委員会では、中小企業庁及び厚生労働省と共同で、フリーランス・事業者間取引適正化等法に違反する行為を受けたフリーランスからの申出を受け付けるオンライン窓口を設置しており、引き続き、フリーランスからの積極的な申出を促すために、申出窓口の周知広報を行っていくこととしている。
 
(参考)(令和7年3月28日)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律に基づく指導について

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/mar/250328_FL.html