2026-05-07
国税庁では、取引相場のない株式の相続税評価について、相続税法の時価主義の下、適正な評価制度の在り方を検討するため、4月20日に有識者会議(第1回)を開催した。
同庁は、令和6年11月に会計検査院検査報告において、取引相場のない株式の相続税評価については、各評価方式の間で評価額にかい離が生じており、類似業種比準価額を適用する割合が高い規模の大きな会社ほど、株式の評価額が相対的に低く算定されること、また、配当還元方式の還元率が、近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあること等から、評価制度の在り方について、「異なる規模の会社間での公平性や社会経済の変化を考慮し、より適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」との指摘を受けており、今回の会議はこれらを踏まえて開催されたもので、会議資料の内容は以下のとおりである。
1 取引相場のない株式の実態把握
評価会社の規模別の純資産価額に対する申告評価額の割合の中央値は、評価会社の規模が大きくなるほど低くなっており、異なる規模の評価会社間で相対的に不均衡が生じているおそれがあり、こうした評価方式間の評価額のかい離が誘因となり、純資産価額方式の適用を回避しようとするスキームが存在する。
2 評価額圧縮スキームとその対応
スキームに対しては、これまで評価通達6項(この通達の定めにより難い場合の評価)に基づく課税処分を行うことなどにより個別に対応せざるを得ない状況である。近年、評価通達6項による評価に係る訴訟等が増加傾向にあり、こうした個別の対応について、納税者の予見可能性といった観点からの批判等があり、評価方法の明確化等が要請されている情勢にある。
3 取引相場のない株式を取り巻く諸問題
継続企業である中小企業にとって、成長に必要な安定的な経営基盤を次世代へ承継することが必要不可欠であることを踏まえて評価すべきであり、企業価値を高めるほど株価が高くなり、結果として税負担が不相当に増大する可能性があるなど、円滑な事業承継を阻害しているなどの意見がある。
4 評価の見直しの方向性
見直しに当たっての基本的な4つの観点として、「『評価額の崖』の解消」、「実務・学術上の進展を踏まえた『今日的観点』からの見直し」、「評価額の『恣意性・操作性』の排除」、「第三者への事業承継等の動向も踏まえた評価」を挙げている。
(参考)「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議について」
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260420/pdf/01shiryo_kabukaigi.pdf

