2025-07-29
経済産業省は、デジタル社会の実現に向けた重点計画(2024年6月21日閣議決定)に盛り込まれた「レガシーシステムモダン化委員会」での議論(2024年7月から2025年3月)を基に、DXおよびレガシーシステムに関する問題と対処の方向性についてレポートを取りまとめ、5月28日に公表し、このたび(6月27日更新)、このレポートの主なポイントを抜粋・編集したプレゼンテーション用編集版の資料を関連資料に追加公表した。
レポートの概要は、1.DXとレガシーシステムを取り巻く現状と課題、2.市場動向調査の分析結果と問題への対処の方向性、3.企業が取るべき対策、4.政策の方向性となっており、具体的には下記の内容が記載されている。
1.DXとレガシーシステムを取り巻く現状と課題
日本企業が直面するDX推進の障害、特にレガシーシステムが最新のデジタル技術導入の足枷となっている現状にフォーカスし、企業が抱える具体的な問題についてユーザー企業、ベンダー企業、サプライチェーンの観点から紹介している。
デジタル技術の進化が加速する一方で、レガシーシステムがその導入を妨げている状況に触れ、これが日本の産業競争力の低下につながる可能性を示唆している。
ここで、レガシーシステムとは、単に古いだけではなく、維持保守や機能改良が困難な状態に陥り高コストの原因となり、経営・事業の足枷となっているシステムを意味している。
2.市場動向調査の分析結果と問題への対処の方向性
2024年12月から2025年2月に実施した市場動向調査の分析結果を基に、レガシーシステムのモダン化を進める上でのポイントを整理している。具体的には、経営者との情報共有やCxO(Chief x Officer)の設置の状況と、IT資産の可視化や内製化の状況には有意な相関があることを示し、また、企業が直面するレガシーシステムに纏わるサプライチェーンリスクや、人材需給のギャップの問題について考察している。
そこから導かれる示唆として、「経営層の意識変革とITガバナンスの強化」、「情報システム部門の自律性」、「事業部門との連携」、「ベンダー企業の変革と協力関係」がレガシーシステムのモダン化に有効であることを提示している。
3.企業が取るべき対策
企業がレガシーシステムのモダン化を進めるために必要な具体的な対策を提示している。
具体的には、ユーザー企業はシステムの可視化と内製化を進め、現行踏襲を見直しつつ標準化対応を検討し、上流人材を育成・確保することが必要とされ、また、ベンダー企業はレガシーシステムのモダン化の生産性を向上させる技術の開発と、ユーザー企業の内製化の支援・伴走を行うことが必要とされる。
これらを、企業の経営層が自分事として強く認識し、強力なコミットメントの下で、トップダウンで推進することが強く求められており、個社で進めることが難しいケースでは、企業の垣根を超えたエコシステムの形成や、産業単位のDXの取組が有効となる。
4.政策の方向性
国の政策として、企業のレガシーシステムのモダン化を支援する取組が検討され、具体的には、ユーザー企業が自律的にDXの成熟度やIT資産の全容を自律的に把握できるよう、可視化や自己診断を実施できるようにする指標やツール、ガイドラインの整備が予定されている。また、IT・デジタル人材の継続的な学びの促進、目的を持ったキャリア形成、労働市場におけるスキル情報の活用を推進する人材育成のプラットフォームの整備も予定されている。
(参考)レガシーシステム脱却に向けた「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250528003/20250528003.html