「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立

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本年3月、国会に提出された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」が、5月16日に成立した。
 
改正の背景・趣旨等として、近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受け、発注者・受注者の対等な関係に基づき、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を図っていくことが重要であるとされている。
 
施行期日は、令和8年1月1日(一部の規定は法律の公布日から施行。)、改正の要旨は以下のとおりである。
 
1 規制の見直し(下請代金支払遅延等防止法関係)
(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)
対象取引において、代金に関する協議に応じないことや、協議において必要な説明又は情報の提供をしないことによる、一方的な代金の額の決定を禁止。
(2)手形払等の禁止
対象取引において、手形払を禁止。また、支払期日までに代金相当額を得ることが困難な支払手段も併せて禁止。
(3)運送委託の対象取引への追加(物流問題への対応)
対象取引に、製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を追加。
(4)従業員基準の追加(適用基準の追加)
従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分を新設し、規制及び保護の対象を拡充。
(5)面的執行の強化
関係行政機関による指導及び助言に係る規定、相互情報提供に係る規定等を新設。
 
2 振興の充実(下請中小企業振興法関係)
(1)多段階の事業者が連携した取組への支援
多段階の取引からなるサプライチェーンにおいて、二以上の取引段階にある事業者が作成する振興事業計画に対し、承認・支援できる旨を追加。
(2)適用対象の追加
・製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を対象取引に追加。
・法人同士においても従業員数の大小関係がある場合を対象に追加。
(3)地方公共団体との連携強化
国及び地方公共団体が連携し、全国各地の事業者の振興に向けた取組を講じる旨の責務と、関係者が情報交換など密接な連携に努める旨を規定。
(4)主務大臣による執行強化
主務大臣による指導・助言をしたものの状況が改善されない事業者に対して、より具体的措置を示して改善を促すことができる旨を追加。
 
このほか、「下請」等の用語の見直しが行われ、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」等に改められたことにより、題目も「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」などに改められた。
 
(参考)「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250516shitauke.html