2025-05-09
日本商工会議所は4月17日、地域経済の好循環を支える中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」の強化に向けて、全国の商工会議所から寄せられた現場の声や要望等を取りまとめ、公表した。
コロナ禍から経済が正常化し、30年ぶりの高水準の賃上げや設備投資等、日本経済は成長型経済への移行、経済の好循環を実現する好機を迎えている。好循環実現の原動力は、雇用の約7割(3大都市圏を除くと約9割)を担う「中小企業・小規模事業者の収益改善、従業員等の所得向上」と、疲弊する「地域経済の再活性化」である。
一方、地域中小企業の多くは人手不足に起因する労務費増、円安を背景とした賃上げを上回るコストプッシュインフレ、金利上昇、消費低迷等に直面し、業況の二極化が顕在化している。賃上げや投資の原資確保に向けた生産性向上、付加価値拡大への支援強化と、適正利潤が得られる価格転嫁など取引適正化に向けたビジネス環境の整備が急務である。
こうした状況を踏まえ、政府に対し、以下に掲げる政策や支援の強化・拡充とビジネス環境整備を求めて行く。
また、今般の米国における関税措置は、国内外の経済や金融市場への悪影響が懸念されることから、サプライチェーン全体の中小企業・小規模事業者へのきめ細かな支援など、各地域の産業や雇用を守るために万全を期すよう要望していくとしている。
今回の取りまとめでは、地域経済好循環の構築への視点とし三点が挙げられている。
1 人手不足等に直面する中小企業等の付加価値拡大への挑戦支援
(1)中小企業の付加価値創出・拡大への支援
成長志向型の中小企業等への支援など
(2)中小企業の人手不足対策と業務効率化
中小企業の人材確保・定着・育成支援など
2 価格転嫁など、取引適正化に向けたビジネス環境整備
(1)適正利潤を得られる取引環境の整備
(2)社会全体の価格転嫁の商習慣の定着
3 地域への投資拡大など、地域経済の再活性化支援
(1)地域に人と投資を呼び込む支援の強化
民間主導・公民共創まちづくり体制の強化など
(2)地域経済を牽引する中堅・中小企業の成長支援
中堅・中小企業による投資促進、地域経済への波及拡大への支援など
(参考)「地域経済の好循環を支える中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」の強化に向けて」
https://www.jcci.or.jp/news/recommendations/2025/0417170000.html