一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定

 貸倒引当金の繰入限度額は、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権とに区分して計算することとされています。
 このうち、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算の概要は次のとおりです。

(注) 一括評価金銭債権の範囲については、コード5500「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲」を参照してください。

 

1 実績繰入率に基づく計算(原則)

 貸倒引当金の設定対象事業年度末の一括評価金銭債権の帳簿価額に、過去3年間の貸倒損失発生額に基づく実績繰入率を乗じて計算します。

繰入限度額 = 期末一括評価金銭債権の帳簿価額 × 貸倒実績率(注)

(注) 貸倒実績率は、次の算式により、小数点以下4位未満を切り上げて計算します。

貸倒実績率の計算式

※ 算式中の「月数」については、暦に従って計算し、1か月に満たない端数が生じたときは、これを1か月とします。なお、貸倒引当金を繰り入れることのできる適用法人は次の法人に限定されています。

(1) 普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもので、各事業年度終了の時において次の法人に該当するものを除いたものです。

イ 大法人(次に掲げる法人をいいます。以下(1)において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人

(イ) 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人

(ロ) 相互会社及び外国相互会社

(ハ) 受託法人

ロ 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記イに掲げる法人を除きます。)

ハ 投資法人

ニ 特定目的会社

ホ 受託法人

(2) 公益法人等又は協同組合等

(3) 人格のない社団等

(4) 銀行、保険会社その他これらに準ずる法人

(5) 金融に関する取引に係る金銭債権を有する一定の法人((1)から(4)までに該当する法人を除きます。)

 なお、(5)の法人については、この制度の対象となる金銭債権が一定の金銭債権に限定されています。

 

2 法定繰入率に基づく計算(中小法人又は公益法人等若しくは協同組合等向けの特例)

 下記(1)の各法人については、繰入限度額の計算に当たり、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の上記1の実績繰入率に基づく計算に代えて、下記(2)の繰入限度額の計算によることが認められています。

(1) 対象となる法人

イ 中小法人

(注) 中小法人とは普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもので、各事業年度終了の時において次の法人に該当するものを除いたものです。ただし、中小法人のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)に該当するものは除かれます。

 (1) 相互会社及び外国相互会社

 (2) 大法人(次に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
イ 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人
ロ 相互会社及び外国相互会社
ハ 受託法人

 (3) 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記(2)に掲げる法人を除きます。)

 (4) 投資法人

 (5) 特定目的会社

 (6) 受託法人

ロ 公益法人等又は協同組合等

ハ 人格のない社団等

(2) 繰入限度額

次の算式により計算します。

繰入限度額の計算式

(注) 法定繰入率は下表のとおりです。

卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含みます。)
製造業
金融業及び保険業
割賦販売小売業並びに包括信用購入あっせん業及び個別信用購入あっせん業
その他
10/1000
8/1000
3/1000
7/1000
6/1000

(※) 令和3年4月1日前に開始した事業年度については、上記の「割賦販売小売業並びに包括信用購入あっせん業及び個別信用購入あっせん業」の法定繰入率は13/1000となります。

 

3 繰入限度額の割増しの特例(公益法人等又は協同組合等向けの特例)

 公益法人等又は協同組合については、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算を上記1又は2のいずれかの方法で行った場合であっても、下表のとおり繰入限度額を割増しすることが認められています。

次の期間に開始する事業年度 令和2年4月1日から令和3年3月31日まで 令和3年4月1日から令和4年3月31日まで 令和4年4月1日から令和5年3月31日まで 令和5年4月1日以後
割増率 106% 104% 102% (制度廃止)

(法法52、66、法令96、措法57の9、措令33の7、法基通11-2-16~18・20、平31改正法附則54、令3改正措令附則16)

 

タックスアンサーNo.5501参照

[令和3年4月1日現在法令等]