2026-11-04
国税庁は9月16日、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」(第6回)を開催し、資料を公表した。
今回の会議では、非上場株式の相続税評価について国税庁が検討している新評価方式である「残余利益方式」による評価額のシミュレーションのほか、利益操作への対応、特殊な事情を持つ会社の評価の在り方などが検討されている。
新評価方式の「残余利益方式」の具体的な計算方法については、企業の会計処理の違いによる評価の差をなくすため、全ての企業が一定の統一基準で作成する法人税法に基づく会計帳簿(法人税申告書)の数値を用いて株価を算定することが提案されている。
この方式を採用するにあたり、将来の無限期間分の利益を予測することは極めて困難であるため、過去の実績(課税時期前5年間の法人の正常利益)に基づき、現実的な予測期間として「5年程度」の残余財産を現在価値に割り引いて加算する案が示されている。
また、直前期末時点で評価会社が保有する資産に多額の減損(簿価>時価)が生じている場合、簿価純資産をベースとした評価額が過大になるおそれがあるため、減損額は資産の簿価が相続税評価額を上回る部分に限ることを要件に減損を反映させることが示されている。
残余利益方式は、過去の利益をベースに将来を予測することになることから、オペレーティングリースや過大な役員報酬、役員退職金など非経常的な損益や利益操作について控除することで「企業の正常利益」を評価する方向となっている。
評価会社が子会社株式を保有している場合は、グループ法人の「完全支配株式」に限り、適正な価格に修正の上、親会社の評価額に反映させることが示されている。
また、従業員持株会を有する場合の従業員持株会株式については、一定の要件を満たす場合、固定価格で評価するとしている。
残余財産方式によらず純資産価額方式で評価する資産管理会社の判定基準については、現行制度のような土地・株式ごとの保有割合によりそれぞれ行うのではなく投資目的の「特定資産」合計額の総資産に対する保有割合により行うこととし、事業承継税制の対象から除かれる「資産保有型会社」及び「資産運用型会社」を参考に形式基準を設定するとした。
そのほか、「残余財産方式の加算期間5年、還元率を8%とした場合」の現行評価額と残余利益方式による評価額の差についての試算や「残余利益方式の加算期間を5年とした場合の計算例」なども示されている。
同日付けで経済産業省・中小企業庁から「「取引相場のない株式の評価」見直しに係る意見」や日本商工会議所からこの有識者会議における議論への意見が提出されており、今後、これらの意見を踏まえ、見直しについての具体的な検討が進められることになる。
(参考)取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第6回)資料
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260916/pdf/06shiryo_kabukaigi.pdf

