危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正

法務省は、6月25日、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律及び道路交通法の一部を改正する法律」が成立し、7月21日から施行されたことを公表した(危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正)。
 
危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)とは、危険・悪質な自動車の運転行為を行い、その結果人を死傷させた者を、傷害罪・傷害致死罪に準じた重い法定刑によって処罰する犯罪類型で、死亡させた場合:1年以上20年以下の拘禁刑、負傷させた場合:15年以下の拘禁刑とするものである。
 
改正の内容は、1.飲酒類型:数値基準の新設、2.高速度類型:類型の新設、3.殊更滑走等類型:類型の新設となっており、法改正の具体的な内容については、法改正についてのQ&Aが公表されているため、参考にするとよい。
 
今回の改正は、飲酒類型について、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」との要件の認定が困難で、判断にばらつきが生じていること、高速度類型について、常識的に見て極めて危険性の高い高速度運転であっても、実際に進路を逸脱していない事案においては、危険運転致死傷罪の適用が否定される場合があること、殊更滑走等類型について車体を横滑りさせながらカーブを曲がったり、二輪車の前輪を浮かせて後輪だけで走行するなどの危険・悪質な運転行為を直接捉える類型がなく、処罰できない場合があることから、危険・悪質な自動車運転による死傷事犯について、事案の実態に即したより厳正な対処を可能とするため、行われたものである。
 
改正の具体的な内容の概要は、
 
1.飲酒類型について
体内アルコール濃度による数値基準が定められ、具体的には、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上(血液1ミリリットルにつき1.0ミリグラム以上)のアルコールを身体に保有する状態で自動車を走行させる行為が一律に危険運転致死傷罪の対象となる。なお、体内アルコール濃度が数値基準に満たないとしても、酒気を帯びて自動車を運転する行為は違法であり、酒酔い運転又は酒気帯び運転に該当する場合には、これらの罪が成立し得る点には注意が必要である。
 
2.高速度類型について
道路の最高速度に応じて数値基準が定められ、具体的には、
・最高速度が時速60キロメートル以下である場合は、最高速度+時速50キロメートル以上の速度
・最高速度が時速60キロメートルを超える場合は、最高速度+時速60キロメートル以上の速度
で自動車を運転する行為が一律に危険運転致死傷罪の対象となる。
 
3.殊更滑走等類型について
公道上において、車体を横滑りさせながらカーブを曲がったり、二輪車の前輪を浮かせて後輪だけで走行するなどの行為を、やむを得ない事情がないのに意図的に行う行為を危険運転致死傷罪の対象とするもの。
 
となっている。
 
(参考)危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正 Q&A 

https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00239.html