全法連、役員給与の損金算入の拡充など税制改正提言

全国法人会総連合(全法連)は、2018年度税制改正に向けて、役員給与の損金算入や事業承継税制の抜本的な見直しなどを盛り込んだ2018年度税制改正に関する提言を公表した。役員給与の損金算入の拡充については、現行制度では、役員給与の損金算入の取扱いが限定されており、特に報酬等の改定には厳しい制約が課せられていると指摘。役員給与は、本来、職務執行の対価であり、原則損金算入できるように見直すべきと主張した。

また、同族会社における役員の利益連動給与についても、経営者の経営意欲を高め、企業に活力を与える観点から、一定の要件のもと、損金処理を認めるべきと主張している。法人税関係ではそのほか、2018年3月末までとなっている交際費課税の適用期限の延長や、無形減価償却資産について、電算機のソフトウェアは5年償却となっているが、技術革新の加速化を考慮し、期間を3年に短縮することなどを求めている。

事業承継税制の拡充については、中小企業が相続税の負担等により事業が継承できなくなれば、我が国経済社会の根幹が揺らぐことになると指摘。先般、納税猶予制度の改正で要件緩和や手続きの簡素化などがなされたが、さらに抜本的な見直しを求めた。具体的には、(1) 事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設、(2) 相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実を掲げている。

(1)では、我が国の納税猶予制度は、欧州主要国と比較すると限定的な措置にとどまっており、欧州並みの本格的な事業承継税制が必要とし、特に事業に資する相続については、事業従事を条件に他の一般財産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設を要望。(2)では、本格的な事業承継税制が創設されるまでの間は、相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実を図ることを求めた。

相続税、贈与税の納税猶予制度については、株式総数上限(3分の2)の撤廃と相続税の納税猶予割合(80%)を100%に引き上げることや、 死亡時まで株式を所有しないと猶予税額が免除されない制度を、5年経過時点で免除する制度に改めること、対象会社規模を拡大することを要望している。

全法連の提言は↓
http://www.zenkokuhojinkai.or.jp/wp-content/uploads/2014/11/平成30年度税制改正に関する提言.pdf