2025-10-23
独立行政法人国民生活センター紛争解決委員会は、令和7年10月1日「国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和7年度第2回)」公表した。
直近6年度分(令和2年度~令和7年度)の申請は697件で、手続が終了した事案(取下げ等を除く)649件のうち約7割の442件で和解が成立している。また、商品・役務別にみると、最も多いのは教養娯楽サービス(87件、約12%)、内容別にみると、「契約・解約」が最も多く、次いで「販売方法」「表示・広告」となっていた。
ADR は柔軟な解決を図るため、手続非公開が原則であるが、紛争解決委員会で扱う重要消費者紛争の背後には、多数の同種紛争が存在しており、当該紛争の解決を図り、その結果の概要を公表することは、それを契機とした他の同種紛争の解決にもつながる指針を提示することとなると考えられる。このため、国民生活の安定と向上を図るために委員会が必要と認める場合には、紛争の結果概要を公表できる仕組みが設けられている。
令和7年10月1日に結果概要を公表した事案数は23件で、公表内容は、クレジットカードの不正利用に関する紛争が最も多く、通信販売の定期購入に関する紛争、結婚式と披露宴の解約に関する紛争、出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争、インターネットを利用した副業契約の解約に関する紛争、クリーニング事故に関する紛争、ビジネス講座の解約に関する紛争、データ復旧サービスの解約に関する紛争等となっており、当事者の主張、手続の経過と結果、和解、不調等の結果が詳述されている。
クレジットカードの不正利用に関する紛争は、海外旅行中にクレジットカードを不正利用された事例が4件(うち和解1件)、カード会社の関連電子決済サービスアプリの不具合により入力したクレジットカード番号、セキュリティコードにより不正利用された事例が1件(不調)であった。
クレジットカードを不正利用された事例については、不正利用された場合であっても、暗証番号を正しく入力した取引となっている場合、カード会社は、返金や補償に応じることはできないとされており、暗証番号やパスワードの管理を厳密に行っていない場合は、被害にあっても補償されることは困難であると考えられるため、特に高額となる取引については、十分な注意が必要である。
(参考)国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和7年度第2回)