日本商工会議所、令和8年度税制改正意見を公表

日本商工会議所は、9月17日、「令和8年度税制改正に関する意見」を公表した。
 
意見書では、わが国は、30年にもおよぶ停滞期を脱し、経済の好循環を実現する好機を迎える一方、米国関税をはじめ世界経済の不確実性が強まるなか、中小企業は最低賃金の大幅な引上げ、円安・原油高によるコスト上昇、人手不足など厳しい状況に直面していると指摘している。
 
このような現状において、わが国の国際競争力を高め「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現するためには、大胆な投資促進政策が極めて重要であり、特に経済好循環の原動力である中小企業の成長投資への力強い後押しが不可欠である。
 
地域経済を支える中小企業が「稼ぐ力」を強化し、構造的・持続的な賃上げに取り組むことができるよう税制面から強力に後押しすることが必要となっている。
 
加えて、重要かつ恒久的な課題が、「中小企業の事業承継」であり、事業承継が停滞すれば、わが国の持続的な成長や地方創生の実現は極めて困難になると円滑な事業承継に向け、過大な税負担を取り除くことが不可欠であるとしている。
 
このような考え方に基づき、意見・要望した内容は次のとおりである。
 
1 円滑な事業承継に資する税制
円滑な事業承継のため、事業承継税制の一般措置について、対象株式の引上げ(総株式数の最大3分の2まで→全株式)、納税猶予割合の拡大(相続の場合80%→100%)、後継者人数の拡大(1名→最大3名)、雇用確保の弾力化、事業継続が困難な事由が生じた場合の免除等など特例措置並みに拡充し、実質的な恒久化を要望。
 
2 中小・中堅企業の「稼ぐ力」の強化に向けた税制
中小・中堅企業の強化のため、研究開発税制・中小企業技術基盤強化税制の延長・拡充(繰越控除措置の復活、控除率等の引上げ、「中堅企業等向け研究開発税制」の創設等)や大胆な設備投資促進税制の創設、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の拡充、研究開発に使用する設備に対する固定資産税の減免措置の創設、少額減価償却資産の損金算入特例の拡充・本則化、デジタル化資産等の即時償却を認める「IT導入枠」(仮称)の創設などを要望。
 
3 わが国のビジネス環境整備等に資する税制
ビジネス環境整備等として、消費税インボイス制度に係る負担軽減措置の延長、外国人旅行者向け消費税免税制度の維持、中小企業・小規模事業者のデジタル化の推進(スマート青色特別控除(仮称)の創設等)、中小企業の成長や経営基盤強化を阻害する税制措置への反対(印紙税の廃止、事業所税の廃止)などを要望。
 
4 地域における民間投資拡大に資する税制
地域の民間投資拡大のため、地域拠点強化税制の延長・拡充(税額控除率の引上げ等)、長期保有土地等に係る事業用資産の買換え特例の延長・拡充、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の拡充、「産業用地整備促進税制」(仮称)の創設などを要望。
 
(参考)「令和8年度税制改正に関する意見」を公表

https://www.jcci.or.jp/news/recommendations/2025/0918162000.html