2025-10-08
厚生労働省は、9月5日から、最低賃金の引上げに向けた環境整備のため、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図る中小企業等の生産性向上に向けた取組を支援するための「業務改善助成金」の拡充を行うことを公表した。
「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金を引き上げ、設備投資等を行う中小企業に対し、その費用の一部を助成するものであるが、より多くの中小企業が活用できるよう、対象事業者の範囲等を拡充することとされた。
具体的には1.対象事業者の拡大、2.申請手続きの簡素化が行われる。
1.対象事業者の拡大は、従来は、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業者を対象(事業場内最低賃金がX+50円までの事業所が対象)としていたが、今回の拡充により、事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金未満までの事業者を対象とすることとされた(事業場内最低賃金がX+51円~X+62円までの事業所が対象)。
なお、 事業場内最低賃金が改定後地域別最低賃金と同額の場合は対象外となる。
2.申請手続きの簡素化は、従来は、助成金申請前に賃金引上げ計画を立て、申請後に賃金を引き上げる必要があり、賃金引上げ後の申請は不可とされていたが、今回の拡充により、賃金引上げ計画の事前提出について省略が可能となった(令和7年9月5日から令和7年度当該地域の最低賃金改定日の前日までに賃金引上げを実施していれば、賃金引上げ計画の提出は不要)。
なお、令和7年9月5日から令和7年度当該地域の最低賃金改定日の前日の期間以外の賃金引上げは一切対象とならないため、対象期間については、注意が必要となる。
助成金支給までの流れは、1.交付申請書・事業実施計画など必要書類を事業場所在地を管轄する都道府県労働局に提出、2.審査・交付決定後、提出した計画に沿ってく設備投資等の事業を実施、3.労働局に事業実施結果を報告、4.審査後支給決定となっている。
厚生労働省では、令和7年度予算「賃上げ」支援助成金パッケージとして、業務改善助成金以外にも生産性向上(設備・人への投資等)として働き方改革推進支援助成金、人材開発支援助成金、人材確保等支援助成金、非正規雇用労働者の処遇改善としてキャリアアップ助成金(正社員化コース、賃金規定等改定コース)、より高い処遇への労働移動等への助成金を実施しているため、併せて確認しておくとよい。(※)
(参考)業務改善助成金