経済産業省 最低賃金の引上げに係る支援策を公表

経済産業省は、9月9日に過去最大となった今般の最低賃金の引上げに対応する中小企業・小規模事業者を支援する取組を公表した。
 
9月5日までに今年の最低賃金について、全ての都道府県の地方最低賃金審議会で答申が取りまとめられた。それらの結果、全国加重平均額(※)は、過去にない水準の1,112円(引上げ率6.3%、引上げ額66円)となった。
 
経済産業省・中小企業庁は、中小企業・小規模事業者が賃上げの余力を確保できるよう、環境整備に係る支援について以下のとおりとりまとめた。
 
1 賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化
令和8年1月施行の改正下請法(取適法)・振興法を着実に執行することで、価格転嫁や支払期間の短縮等の課題に対し、協議に応じない一方的な価格設定についての禁止などの措置を行い、賃上げの原資を確保する。
また、発注側企業等における取引慣行の改善として、所管する大臣名で企業トップへ指導・助言を行うことや取引Gメン等による「注意喚起」、「協力要請」などの行政指導の強化、今般の法改正を踏まえた取引適正化について業界団体向けへの要請を実施する。
 
2 賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援
地域の社会機能を担う小規模事業者の販路開拓等を支援するため、持続化補助金や賃上げ促進税制における5年間の繰越控除措置の活用などを通じて、赤字の状況でも賃上げできるよう後押しを行う。また、100億円企業を目指す中小企業への成長加速化支援や経営資源の有効活用を進める事業承継、M&Aについても引き続き支援を行う。
 
3 中小・小規模企業の生産性向上の賃上げ支援機能の強化
ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)について補助率引上げ特例の要件緩和や賃金引上げを行うことによる加点措置などの優遇措置を行う。
また、中小企業庁、厚生労働省との連携強化により、支援策を掲載したリーフレットを共同で作成し、それぞれの拠点(中小企業庁:よろず支援拠点、厚生労働省:働き方改革推進支援センター及び労働基準監督署)を活用して相互に支援策の周知を徹底する。
 
最低賃金の引上げへの対応は、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の一環として政府全体での取組となっている。
 
(※) 都道府県ごとの労働者数×地位別最低賃金で計算した全国の合計を、総労働者数で割った額をいう。
 
(参考)最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します

https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html