年末調整手続の電子化で業務の効率化

国税庁は、9月12日に年末調整の電子化に関するパンフレットを同庁のホームページに掲載した。年末調整の電子化とは、これまで書面で行っていた年末調整の手続きをすべてデータで行うことである。
 
具体的には、まず従業員(給与所得者)が年末調整に必要な控除証明書をデータで取得し、これを利用して年末調整に関する申告書をデータで作成する。
 
次に勤務先(給与の支払者)が従業員から年末調整に関する申告書及び控除証明書等のデータ提供を受け、所得税の年税額を計算し、作成した源泉徴収票等を従業員、税務署、市町村に提出することで終了する。
 
これまでの年末調整は、従業員が年末調整に必要な控除証明書を書面(ハガキ等)で受取り、年末調整に関する申告書に証明書の内容を手書きで記載し、控除額を計算したうえで控除証明書とともに申告書を勤務先に提出する。勤務先においては、提出された申告書を基に年税額を計算するという流れで進められていた。
 
パンフレットでは電子化のメリットについて、勤務先は関係書類の配付や回収が不要、控除額や添付書類のチェックが簡単、会社のシステムへの手入力作業が不要、書類の保管場所が不要となっており、従業員は手書きでの書類作成が不要、控除額はソフトが自動計算、テレワーク中の従業員も提出可能、マイナポータル連携を利用すれば、保険料等の控除証明書等をまとめて取得可能となると紹介している。
 
年末調整の電子化は令和2年10月から始まり、年末調整控除申告書作成用ソフトウェアの活用やマイナポータル連携による保険料控除証明書、住宅借入金年末残高証明書の取得など徐々に環境が整えられてきているが、電子化を行うためには、勤務先が控除申告書や残高証明書をデータで受付けるための環境整備を行うことや、データを直接やり取りする上でのセキュリティの検討、従業員への周知など様々な準備・検討が必要となる。
 
今回、掲載されたパンフレットは「電子化の概要「年末調整手続の電子化で業務の効率化」」、「電子化の進め方(勤務先編)」、「電子化の進め方(従業員編)」、「従業員の方への周知資料」、「民間会計ソフトを活用した年末調整手続の電子化(参考事例)」、「よくある質問(FAQ)」の6種類あり、電子化を進めるうえで勤務先が準備・検討すべき事項や従業員が準備すべき事項を細かく解説しており、今年から年末調整の電子化を進めていく事業者には有益な資料となっている。
 
(参考)年末調整手続の電子化に関するパンフレット

https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho_pamph.htm