2025-07-24
国税庁は、令和7年6月30日に自身のホームページにおいて国税庁レポート2025年版を公表した。
国税庁レポートとは、平成16(2004)年6月に新たな取組として国税庁が、達成すべき目標を設定し、その実績を評価して公表するにあたって、納税者に分かりやすく説明するため作成したレポートで、以降毎年、公表されている。
このレポートに目を通すことにより、国税庁の1年間の取組や実績を知ることができるほか、国税当局が重点課題としているテーマなどを確認することができる。
毎年、公表されているので、過去から現在までのレポートを読むことで、税務行政の変遷を知ることができるなど国税庁の取組等への理解を深めるために最適な資料と言える。
本年は、デジタル技術の積極的な活用を図る「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)」の推進がテーマとされており、その3つの側面として、
・納税者の利便性向上
納税者が税に関する様々な手続きを日常使い慣れたスマホなどの機器で済ませることが可能となる環境の整備
・課税・徴収事務の高度化等
効果的な行政指導や調査・徴収事務を推進していく基盤として、データやオンラインツールの積極的な活用
・事業者のデジタル化促進
事業者が行う会計・経理等の様々な業務についてのデジタル化による業務の効率化、正確性及び生産性の向上
についての取組を推進していくことが報告されている。
今回のレポートで公表された新たな情報、取組は次のとおりである。
【新たな情報】
・次世代システム(KSK2)の本格導入(令和8(2026)年9月)
・内部事務センター化の全署実施(令和8(2026)年)
・輸出物品販売場制度の見直し(リファンド方式への見直し)(令和8(2026)年11月1日)
【新たな取組】
・税務データの活用における研究者の利便性向上のため、申告情報に匿名化処理を行ったデータ提供の開始
・取引から会計・税務までのデジタル化(デジタルシームレス)の普及に向けての取組
・SNSによる情報発信(X(旧Twitter)、LINE、YouTube、Instagram)
・税理士業務のデジタル化や事業者のデジタル化に向けた連携協調
また、酒類行政においては、令和6(2024)年12月に日本酒、焼酎・泡盛等の「伝統的酒造り」についてユネスコ無形文化財に登録されたことが取り上げられており、大阪・関西万博などの機会も最大限に活用し、酒類業の活性化や日本産酒類の輸出促進に向けて積極的に取り組んでいくことが報告されている。
(参考)国税庁レポート2025
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2025.pdf