2025-06-24
厚生労働省は、令和7年5月30日、令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表した。
職場における熱中症対策については、熱中症の重篤化を防止するため、労働安全衛生規則が改正され、令和7年6月1日から施行されている。
この改正により、事業者には以下の措置が義務付けられる。
1 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
①「熱中症の自覚症状がある作業者」
②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
が、その旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
なお、熱中症を生ずるおそれのある作業とは、WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものをいう。
公表された「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」は、職場における熱中症による死傷者数の状況(2015~2024年)、業種別発生状況(2020~2024年)、月・時間帯別発生状況(2020~2024年)、年齢別発生状況(2020~2024年)、2024年の熱中症による死亡災害の事例であり、その概要は以下のとおりである。
職場における熱中症による死傷者数の状況(2015~2024年)
職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、2024年に1,257人と、死傷者数について統計を取り始めた2005年以降、最多となっている。うち、死亡者数は31人と、死亡災害について統計を取り始めた1989年以降、当時、観測史上1位の猛暑であった平成22年の47人に次いで多くなっている。
業種別発生状況(2020~2024年)
2024年の死傷者数1,257人について、業種別でみると、製造業が235人、建設業が228人の順で多くなっている。死亡者数については、31人のうち建設業が10人と最も多く発生しており、次いで、製造業が5人となっている。
月・時間帯別発生状況(2020~2024年)
1.月別発生状況
2024年の死傷者数1,257人について、月別の発生状況でみると、約8割が7月、8月の2ヶ月間に集中している。特に死亡者数については、31人のうち、1人を除き、7月又は8月に集中している。
2.時間帯別発生状況
2024年の死傷者数1,257人について、時間帯別の発生状況についてみると、午前中や午後3時前後の被災者数が多くなってことが窺えるが、いずれの時間帯でも発生している。死亡災害についても同様にいずれの時間帯でも発生している。
年齢別発生状況(2020~2024年)
2024年の死傷者数1,257人について、年齢別の発生状況についてみると、死傷者数、死亡者数ともにいずれの年齢層においても発生しており、死傷者数については、50歳代以上で全体の約56%を占めており、死亡者数については全体の約67%を占めている。
(参考)職場における熱中症による死傷者数の状況(2015~2024年)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/heatstroke/#sec01_04
(参考)労働安全衛生規則の一部を改正
https://neccyusho.mhlw.go.jp/pdf/2025/r7_ministerial_ordinance.pdf