2025-06-23
法務省は5月22日、相続土地国庫帰属制度の運用状況に関する統計を同省ホームページに公開した(速報値)。
相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とするものであり、令和5年4月27日から開始している。
相続土地国庫帰属制度の運用状況に関する統計のホームページは、制度の運用状況に合わせて、順次内容を更新しているが、公開している数値はいずれも速報値であることに留意することが必要である。
公開している内容は、1.申請件数、2.帰属件数、3.却下・不承認件数、4.取下げ件数となっている。
1.申請件数(令和7年4月30日現在)
(1)総数 3,732件
(2)地目別 田・畑:1,431件、宅地:1,302件、山林:582件、その他:417件
2.帰属件数(令和7年4月30日現在)
(1)総数 1,586件
(2)種目別 宅地:603件、農用地:497件、森林:89件、その他:397件
3.却下・不承認件数(令和7年4月30日現在)
(1)却下件数 58件
(却下の理由)
・現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1号)に該当した:12件
・現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地(施行令第2条第4号)に該当した:1件
・境界が明らかでない土地(法第2条第3項第5号)に該当した:11件
・承認申請が申請の権限を有しない者の申請(法第4条第1項第1号)に該当した:6件
・法第3条第1項及び施行規則第3条各号に定める添付書類の提出がなかった(法第4条第1項第2号):33件
(2)不承認件数 54件
(不承認の理由)
・崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号)に該当した:5件
・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)に該当した:23件
・除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)に該当した:2件
・民法上の通行権利が現に妨げられている土地(施行令第4条第2項第1号)に該当した:2件
・所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(施行令第4条第2項第2号)に該当した:1件
・災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地(施行令第4条第3項第1号)に該当した:3件
・国による追加の整備が必要な森林(施行令第4条第3項第3号)に該当した:22件
・国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地(施行令第4条第3項第4号)に該当した:6件
なお、1つの事件で複数の却下の理由又は不承認の理由が認められる場合がある。
4.取下げ件数(令和7年4月30日現在) 604件
取下げの原因の例として下記のものがある。
・自治体や国の機関による土地の有効活用が決定した
・隣接地所有者から土地の引き受けの申出があった
・農業委員会の調整等により農地として活用される見込みとなった
・審査の途中で却下、不承認相当であることが判明した
(参考)相続土地国庫帰属制度の統計
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00579.html