2025-06-18
国税庁は、令和7年度税制改正により行われた所得税の「基礎控除」、「給与所得控除」に関する見直しや「特定親族特別控除」の創設などに伴う、源泉徴収事務の変更点をまとめたQ&Aを特設サイトにおいて5月30日に公表した。
今回のQ&Aは、改正後の令和7年分年末調整事務および令和8年1月以後の源泉徴収事務を中心に、以下の7項目で構成されている。
・改正の概要
・令和7年分年末調整関係書類の記載事項
・特定親族特別申告書
・令和7年分年末調整における年税額の計算
・令和8年分以後の給与の源泉徴収事務
・公的年金等に係る令和7年度税制改正
・令和7年分の所得税に係る準確定申告書等
なかでも注意すべき点は、令和7年分の給与に関する源泉徴収事務の手続きである。税制改正による基礎控除の見直し等は令和7年12月1日から適用されるため、それ以前の令和7年11月末までに支払われる給与については、従来通りの源泉徴収事務を行うこととなる。そして、12月以後に支払う給与および年末調整から改正後の取扱いが適用される(「1-1 改正の概要」参照)。
このため、令和7年12月に実施する年末調整では、改正後の基礎控除額や給与所得控除に基づいて年間の所得税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行うことになる(「1-1 改正の概要」参照)。
もし、年の最後の給与が11月30日以前に支払われた場合は、年末調整では改正後の控除等は適用されず、確定申告で適用されることとなる(「1-12 令和7年12月1日以後居住者として給与の支払を受けていない人」参照)。
特に注意が必要なのは、令和7年11月30日以前に令和7年分の準確定申告の提出を行う場合、一旦、改正前の税額計算による準確定申告書を提出し、12月1日以後に、改めて更正の請求を行うことで改正後の制度の適用を受けることとなる(「7-1 令和7年11月30日以前に準確定申告書を提出する場合の基礎控除等」参照)。
なお、令和8年1月1日以降は、改正後の「源泉徴収税額表」に基づき源泉徴収事務を行うことになる(「5-1 令和8年分以後の給与の源泉徴収事務の改正」参照)。
改正後の源泉徴収事務に必要な用紙等について、「特定親族特別控除申告書」、「給与所得の源泉徴収票」、「令和8年分給与所得に対する源泉徴収簿」は令和7年6月末頃、「令和7年分年末調整のしかた」、「令和8年分 源泉徴収税額表」は令和7年8月末頃に国税庁ホームページに掲載予定である。
(参考)令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025005-051.pdf
(参考)令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm