ふるさと納税、住民税の減収は約1.8倍の1767億円に

ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく応援したいどの都道府県・市区町村に対する寄附でも対象に、寄附金のうち2000円を超える部分について、一定上限まで原則、所得税・個人住民税から全額が控除される。その分、寄附者が多く住む自治体ほど減収額が大きくなるわけだが、総務省が28日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査」では、2017年度課税における減収額が前年度の約1.8倍にのぼることが明らかになった。

調査は、昨年1月から12月までの間に行われたふるさと納税について、2017年度課税で控除対象となる額や寄附者数をとりまとめたもの。ふるさと納税の寄附額は前年度の1471億円から2540億4000万円へと約1.7倍に、控除額は同1001億9000万円から1766億6000万円へと約1.8倍に、寄附者数は同129万8700人から225万2800人へと約1.7倍になり、いずれも大きな伸びを示していることが分かった。

都道府県別にみると、「東京都」が断然トップ。東京都の住民の寄附者数は47万7908人でそのふるさと納税額(寄附金額)683億425万円に対し控除額は466億2052万円にのぼる。続いて「神奈川県」が寄附者数24万3091人でふるさと納税額258億8599万円、控除額は187億6121万円、「大阪府」が寄附者数19万9598人でふるさと納税額218億8798万円、控除額は150億7798万円と続いている。

このほか、「愛知県」(寄附者数16万2813人、寄附額180億7031万円、控除額128億4678万円)、「兵庫県」(同12万3052人、132億7886万円、94億1870万円)などが寄附者数・額で続いており、大都市部から地方部への税流出という傾向が裏付けられるものとなっている。都市部の住民が地方に寄附すると地方財政は潤うが、一方で本来徴収できたはずの住民税が減る都市財政は苦しくなり不満が高まっている。

なお、2017年度分のふるさと納税ワンストップ特例制度の適用者は77万1800人(前年度41万8800人)、そのふるさと納税額は約471億円(同約242億円)、控除額は約449億円(約230億円)といずれも大きく伸びた。以前はふるさと納税で税金の控除を受けるためには確定申告が必要だったが、2015年4月からはワンストップ特例制度が導入され、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内等であれば、確定申告が不要となっている。

ふるさと納税に関する現況調査は↓
http://www.soumu.go.jp/main_content/000500082.pdf