2026-10-30
「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、11回目となる今回の白書の主な内容は、第1章 過労死等の概況、第2章 過労死等の防止のための対策の実施状況となっており、企業や団体の取組事例などのコラムも掲載されている。
第1章 過労死等の概況では、1 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況、2 過労死等の状況、3 過労死等に係る調査・研究が記載され、第2章 過労死等の防止のための対策の実施状況では、1 労働行政機関等における対策、2 調査研究等、3 啓発、4 相談体制の整備等、5 民間団体の活動に対する支援が記載されている。
なお、「過労死等」とは、(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡、(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡、(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害をいうものとされている。
ここでは、重点業種等(自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界、芸術・芸能分野)の過労死等の概況について下記に記載する。
重点業種等の過労死等の概況としては、重点業種等の取組みと状況について、過労死等の労災請求件数の増加要因についての状況と取組みの方向性が示されている。
重点業種等の取組みと状況については、
・脳・心臓疾患事案の3年ごとの平均件数の推移を見ると、「自動車運転従事者」は減少傾向であるが、依然として他に比べ件数が多い。
・精神障害事案の3年ごとの平均件数の推移を見ると、「IT産業」、「メディア業界」以外は増加傾向。特に「医療」の3年ごとの平均件数の推移を見ると、「令和3年度~5年度」は「平成24年度~26年度」と比べ約3倍となっており、「建設業」も「自動車運転従事者」も大幅に増加している。
・精神障害の発病に関与したと考えられる事象(出来事)は、全産業では「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の割合が最も高く、重点業種等では「教職員」、「メディア業界」、「外食産業」の順に割合が高い。
とされており、重点業種等ごとに異なる傾向が見られることから、その特徴を踏まえた対応を検討し、取組みを行うことが必要となっている。
過労死等の労災請求件数の増加要因については、
【脳・心臓疾患について】
・月末1週間の就業時間が週60時間以上の雇用者数が減少している一方、脳・心臓疾患の労災請求件数は増加傾向にある。
・労災支給決定件数について、時間外労働「80時間未満」の件数は緩やかな増加傾向にある。
・脳・心臓疾患の罹患率が他の年齢層に比べて高い「50歳以上」の年齢層の労災請求件数の増加が、脳・心臓疾患の労災請求件数全体の増加の主な原因となっていると考えられる。
【精神障害について】
・精神障害に係る労災請求件数の増加については、出来事の類型別の労災決定件数の推移を見ると「対人関係」の伸びが最も大きく、その中でも特に「上司とのトラブル」の伸びが大きい状況にある。
・業種別に見ると「医療、福祉」が最も多く、「医療、福祉」の出来事別では「対人関係」が最も多い。
とされており、長時間・過重労働の防止、休日の確保、休暇の取得促進について、引き続き取組みを推進していくとともに、人手不足や、職場等におけるメンタルヘルス対策の強化、ハラスメント対策を含め、より良い職場環境に向けた取組みも積極的に推進していくことが必要となっている。
(参考)「令和8年版 過労死等防止対策白書」を公表します

