通勤手当の非課税限度額の改正について

令和7年11月19日に所得税法施行令の一部を改正する政令が公布され、通勤のため自動車などの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられた。
 
この改正は、令和7年人事院勧告で自動車などの交通用具使用者に対する通勤手当の額が引上げられたことを受けて改正されたものであり、令和7年11月20日に施行となった。
 
今回、改正対象となった自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する1ヶ月当たりの通勤手当の非課税限度額は、通勤距離ごとに次のとおり改正された。
 通勤距離が片道55㎞以上である場合     改正後 38,700円 改正前 31,600円
 通勤距離が片道45㎞以上55㎞未満である場合 改正後 32,300円 改正前 28,000円
 通勤距離が片道35㎞以上45㎞未満である場合 改正後 25,900円 改正前 24,400円
 通勤距離が片道25㎞以上35㎞未満である場合 改正後 19,700円 改正前 18,700円
 通勤距離が片道15㎞以上25㎞未満である場合 改正後 13,500円 改正前 12,900円
 通勤距離が片道10㎞以上15㎞未満である場合 改正後   7,300円 改正前   7,100円
 
改正後の非課税限度額は、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に適用されることから、次の通勤手当について改正後の非課税限度額は適用されない。
 1 令和7年3月31日以前に支払われた通勤手当
 2 令和7年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で同年4月1日以後に支払われるもの
 3 1又は2の通勤手当の差額として追加支給されるもの
 
年末調整における留意事項としては、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当で、令和7年11月19日までに支払われた金額のうち、課税対象となった金額がある場合、遡って税額の再計算を行う必要はなく、年末調整の際に改正後の非課税限度額の適用により過納付となる税額について精算することになる。
 
なお、改正前の非課税限度額の範囲内で通勤手当を支給し、今回の改正を踏まえ、令和7年4月1日に遡って改正後の非課税限度額との差額を通勤手当の追加支給として支払う場合は、通勤手当の全額が非課税の範囲内となるため、年末調整での精算は不要となる。
 
国税庁ホームページでは、「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」、「年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例」、「通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&A」、「(動画)通勤手当の非課税限度額の引上げについて(YouTube)「国税庁動画チャンネル」(外部サイト)」を掲載し、非課税限度額の内容や年末調整での精算方法などについて詳しく解説しているので参考にするとよい。
 
(参考)通勤手当の非課税限度額の改正について

https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm