厚生労働省、令和7年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表

厚生労働省は、10月14日、令和7(2025)年の「賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要」を公表した。
 
調査結果によると、令和7年中における賃金改定の実施状況(実施予定を含む。)は、「1人平均賃金を引き上げた・引上げる」と回答した企業の割合は91.5%(前年91.2%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は1.1%、「1人平均賃金は変わらなかった・変わらない」は、1.0%となっており、「賃金の改定を実施しない。」は2.4%(前年2.3%)、「未定」は3.9%(前年6.4%)となっている。
 
賃金の改定を実施・予定していると回答した企業について、改定時期について「1月~8月のみ実施」は、78.2%(前年78.8%)、「9月~12月のみ実施」は9.6%(前年6.4%)、「1月~8月及び9月~12月」と2度実施するとした企業は、5.9%(前年6.0%)となっている。
 
「1人平均賃金を引き上げた・引上げる」回答とした企業を労働組合の有無別でみると、労働組合ありでは95.5%、労働組合なしでは、90.4%と、企業労働組合のある企業が5.1%多い結果となっている。
 
賃金の改定額及び改定率をみると、「1人平均賃金の改定額」は、13,601円(前年11,961円)、「1人平均の改定率」は4.4%(前年4.1%)となっており、いずれも前年を上回っている。
 
年次の推移については、平成23年の調査以降、増加傾向で推移し、令和2年、令和3年調査では減少したが、令和4年調査以降は増加している。
 
賃金の改定事情をみると令和7年8月1日現在における企業活動の状況について「業況」が「良い」と回答した企業は35.3%、「さほど良くない」と回答した企業は51.2%、「悪い」と回答した企業は13.1%となっており、企業の業績がさほど良くない状況でも賃金の引き上げを実施、もしくは実施予定である企業が多いことがわかる。
 
定期昇給の実施状況については、定期昇給を「行った・行う」とした企業の割合は76.8%、「定昇を行わなかった・行わない」は2.6%、「定昇を延期した」が0.1%となっている。
 
また、賃金の改定にあたって企業が最も重視した要素をみると、「企業の業績」が41.7%(前年35.2%)と最も多く、次に「労働力の確保・定着」が17.0%(前年14.3%)、「雇用の維持」が11.9%(前年12.8%)となっている。
 
この調査は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法、改定に至るまでの経緯などを明らかにする目的で本年の7月から8月にかけて実施している。
 
調査対象は、常用労働者100人以上を雇用する企業で、本年は3,643社を抽出して調査を行い、回答のあった1,847社の結果を取りまとめている。
 
(参考)賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/25/index.html