2025-11-10
令和7年10月10日、法務局(登記所)は、令和7年度の休眠会社等の整理作業のため、12年以上登記がされていない株式会社及び5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人に対して、法務大臣による官報公告を行った後、通知書の発送を行った。
通知書には法務大臣の公告要旨が記載されており、内容は以下のとおりである。
・最後の登記から12年を経過している株式会社、又は最後の登記から5年を経過している一般社団法人若しくは一般財団法人は、事業を廃止していない場合、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄登記所に提出する必要がある。
・公告の日から2か月以内(令和7年12月10日(水)まで)に、「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、また、必要な登記申請もされないときは、令和7年12月11日(木)付で解散したものとみなされる。
この通知書が送られている会社・法人は、12月10日まで(公告から2か月以内)に必要な登記、又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない限り、12月11日付で解散したものとみなされ、所轄登記所の登記官により、職権で解散の登記(みなし解散)が行われる。
このみなし解散は、会社法で定められており、最後に登記のあった日から12年を経過した株式会社は休眠会社、最後の登記から5年を経過している一般社団法人、一般財団法人は、休眠一般法人として事業活動を行っていない可能性が高い、すなわち休眠状態であると判断されるとともに、登記所から整理(解散)の対象とされてしまう。
解散となった会社・法人は、すぐに消滅しないが、解散後は清算に必要な行為(現務の結了、債権の取立て・債務の弁済、残余財産の分配)しか行うことができなくなる。
会社法では、会社設立後、登記した事項に変更があったときは、2週間以内に変更の登記を行う義務がある。
例えば、会社の商号、本店の所在地、役員が変更した場合には、変更の登記が必要である。
注意が必要なのは、役員変更の登記である。会社法では、取締役の任期は、株式会社で最長10年、一般社団法人、一般財団法人で5年と定められており、それぞれの任期が経過したときには、役員の変更登記をする必要がある。
つまり、同じ人が再任する場合でも、その旨の登記を行う必要があり、登記を失念すると普通に営業活動を行っているにもかかわらず「休眠会社」、「休眠法人」と扱われ一方的に整理作業の対象となってしまう。
通知書が送付されている会社の中には、この役員再任の登記を失念しているものも含まれているため、失念していることが把握された場合は、直ちに役員の再任の登記、または「まだ事業を廃止していない旨」の届出の提出が必要である。
法務省が行っている休眠会社・休眠一般法人の整理作業は、休眠会社等を放置することで
・事業を廃止し、実体を失った会社がいつまでも登記上公示されたままとなるため、登記の信頼を失いかねないこと
・休眠会社を売買するなどして犯罪の手段とされかねないこと
といった問題があることから、平成26年度以降、毎年実施されている。
(参考)令和7年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

