2025-09-30
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は、9月9日「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」の結果を取りまとめ、公表した。
この調査は、2023年10月に消費税インボイス制度が始まったことを受け、事業者の対応状況や負担の状況、各種負担軽減措置の効果等と、あわせて経理事務等のバックオフィス業務の状況等について調査したものであり、各地商工会議所の会員企業2,710者を対象に2025年6月23日から7月31日にかけて実施されたものである。
回答企業の事業形態は、個人事業主52.4%、法人46.5%、取引形態は、BtoB中心53.6%、BtoC中心46.4%、売上高1千万円以下33.5%、1億円超31.5%、業種は、その他サービス業21.0%、製造業16.5%、小売業15.4%、建設業14.7%、宿泊・飲食業11.1%他となっていた。
インボイス制度については、免税事業者(制度導入前)のインボイス登録状況等8項目について調査が行われ、バックオフィス業務については、経理事務の従事人数・専任従業員の状況等5項目について調査が行われた。
インボイス制度についての調査結果概要は以下のとおりである。
インボイス登録状況については、制度導入前免税事業者であった事業者のうち、BtoB中心事業者では78.6%、BtoC中心事業者では24.6%がインボイス発行事業者登録を行っていた。
インボイス登録を行っていない免税事業者(BtoB中心)の75.4%が、制度の基本的な仕組みを「理解している」あるいは「ある程度理解している」と回答し、BtoB中心事業者がインボイス登録を行わなかった理由としては「取引先から要請がなかった」が最多となっていた。
課税転換(インボイス登録)した事業者の価格交渉の状況については、免税事業者からインボイス登録(課税転換)したことを契機に価格交渉を行った事業者のうち、76.9%が値上げを実現しており、価格交渉してない理由としては「価格交渉の提案等がなかったから」が最多で、交渉を進めるうえで必要な環境整備としては「取引慣行の改善」が最多となっていた。
課税転換(インボイス登録)した事業者の2割特例の適用状況は、免税事業者からインボイス登録(課税転換)した事業者の68.6%が2割特例を適用しており、2割特例を適用した事業者の92.0%が「スムーズに消費税申告できた」と回答した。
本則課税事業者における免税事業者との取引状況は、免税事業者から仕入等を行う本則課税事業者は43.7%で、そのうち57.6%は仕入額が100万円以上となっており、今後、取引価格や仕入先の見直しを行う事業者は42.3%で、免税事業者との取引継続の理由としては「代替となる取引先がいない」が最多となった。
インボイス発行事業者のコスト・事務負担の状況は、制度導入により45.8%がコスト増加、73.4%が事務負担増加と回答し、増加したコストは「既存システムの改修」が最多で、増加した事務負担は「仕入先のインボイス登録状況確認・管理」が最多となった。
(参考)「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」結果について
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1207117