2025-07-16
公正取引委員会は6月17日、特定受託事業者(以下「フリーランス」)に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス法」)に規定する「取引条件の明示義務」(第3条第1項)及び「期日における報酬支払義務」(第4条第5項)に違反したとして、株式会社光文社(※1)と株式会社小学館(※2)に勧告を行った。
この勧告は、フリーランス法施行後、初めての勧告となる。
株式会社光文社は、令和6年11月1日から令和7年2月27日までの間、自らが出版する月刊誌、週刊誌、文庫本等に関する原稿、写真データ、イラスト等の作成、ヘアメイクの実施、撮影道具等の手配等の委託に際して、フリーランス31名に対し取引条件、報酬の支払期日を明示しておらず、フリーランスから役務の提供を受けた日までに報酬を支払わなかった。
株式会社小学館は、令和6年12月1日から同月31日までの間、自らが出版する月刊誌及び週刊誌に関する原稿、写真データ、イラスト等の作成、ヘアメイクの実施等の委託に際してフリーランス191名に対し取引条件、報酬の支払期日を明示しておらず、フリーランスから役務の提供を受けた日までに報酬を支払わなかった。
公正取引委員会が、株式会社光文社、株式会社小学館に対して行った勧告の概要は下記のとおりである。
(1)フリーランス法を遵守する体制を確立するため、次の措置を講ずること。
ア 下記の事項について取締役会の決議により確認すること
・上記の行為がフリーランス法「取引条件の明示義務」(第3条第1項)に違反すること
・今後フリーランスに対し業務委託をした場合、直ちに、明示事項を明示すること
・上記の行為がフリーランス法「期日における報酬支払義務」(第4条第5項)に違反すること
・今後フリーランスに対し業務委託をした場合、定められた支払期日までに報酬を支払うこと
イ 上記の期間にフリーランスに業務委託をした内容と同種又は類似の内容の業務委託をした取引について、「取引条件の明示義務」、「期日における報酬支払義務」の観点から問題が生じていなかったのかを調査し、問題が認められた場合には必要な措置を講ずること
ウ 以下について、自社の役員及び従業員に対するフリーランス法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること
・今後フリーランスに対し業務委託をした場合、直ちに、明示事項を明示すること
・今後フリーランスに対し業務委託をした場合、定められた支払期日までに報酬を支払うこと
(2) (1)に基づいて採った措置を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
(3) (1)(2)に基づいて採った措置を取引先フリーランスに通知すること。
(4) (1)(2)(3)に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
なお、公正取引委員会は6月17日、「出版業界の皆様へ~フリーランス法広報コンテンツの御案内~」として、出版業界の取引もフリーランス法の対象であることを明示し、フリーランス法を説明した冊子、説明会動画等の案内についてのパンフレットも公表している。
(参考)出版業界の取引もフリーランス法の対象です
https://www.jftc.go.jp/houdou/250617_fl_flyer.pdf