2025-07-10
国税庁は令和7年7月1日、令和7年分の路線価を公表した。相続税や贈与税において土地等の価額は時価で評価されるが、納税者が自ら正確な時価を把握することは容易ではない。そのため、国税庁は毎年、全国の標準宅地について路線価や評価倍率を定めて公表している。
路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額をいい、地価公示価格のおおむね8割程度を目安として、1年間の地価変動等を踏まえて設定されるものである。
令和7年分の全国の標準宅地の平均上昇率は前年比2.7%の上昇となり、上昇は4年連続であった。平成22年に現在の算出方法が導入されて以降、最大の上昇率である。
都道府県別では東京都が最も高く、前年比8.1%の上昇、これに沖縄(6.3%)、福岡(6.0%)が続いた。一方、下落したのは12県で、新潟、山梨、奈良などが下落幅の大きい地域だった。
上昇の背景には、コロナ禍からの経済活動の本格的な再開とインバウンド需要の回復がある。令和6年の訪日外国人数は過去最多を記録し、各地の観光地・リゾート地は路線価の上昇が顕著となった。特に長野県白馬村は前年比32.4%の上昇率で全国トップとなった。このほか、北海道富良野市(30.2%)、東京都台東区浅草(29.0%)、岐阜県高山市(28.3%)なども高い上昇率を示した。
最高路線価は、40年連続で東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前が全国首位となり、1平方メートル当たり4,808万円と前年比8.7%の上昇となった。
また、令和7年分は能登半島地震の影響が初めて反映された年でもある。石川県全体では0.7%の上昇となったものの、被害が甚大だった石川県輪島市「朝市通り」では16.7%の下落となり、全国で最大の下落率となった。
(参考)路線価図・評価倍率表