コロナ税特法での消費税の課税選択の変更に係る特例

新型コロナ税特法のひとつに、消費税の課税選択の変更に係る特例がある。消費税の課税事業者を選択する(又はやめる)にあたっては、原則として、その課税期間の開始前に届出書を提出する必要があるが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者につき、一定要件に該当するときは、税務署に申請し、税務署長の承認を受けることで、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又はやめる)ことができる。

一定要件とは、(1)特例に係る法律の施行日(2020年4月30日)以後に申告期限が到来する課税期間において、(2)新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月1日から2021年1月31 日までの期間の内、一定期間(1ヵ月以上の任意の期間)の収入が、前年同期に比べて概ね50%以上など著しく減少した場合で、かつ、(3)その課税期間の申告期限までに申請書を提出した場合、となっている。

ここで問題となりそうなのが、「概ね50%以上減少」だ。収入金額の減少がわずかに50%に届かないケースでは特例の適用に迷うところだが、この基準の適用については、現に収入の減少が50%に届かないことのみをもって一概に否定するものではなく、収入の減少が50%に届かない場合でも、今後さらに減少率の上昇が見込まれる場合などは、これを勘案して総合的に判断するとみられており、税務署への相談をお勧めしたい。

原則として、消費税の申告期限は、法人は課税期間の終了の日の翌日から2ヵ月、個人は、課税期間の翌年の3月末だ。国税通則法11 条の規定による期限延長を受けている場合には、その延長された期限が承認申請期限となるので、最寄りの税務署に相談を。また、新型コロナ税特法の特例により課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において、課税事業者の選択をやめることもできる。

なお、消費税の簡易課税制度の適用に関しては、現行法において、「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例が設けられている(消費税法37 条の2)。新型コロナウイルス感染症の影響による被害を受けたことで、簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)必要が生じた場合、税務署長の承認を受けることで、その被害を受けた課税期間から、簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)ことができる。