2015年度譲渡所得調査では1548億円の申告漏れを把握

税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われているのは周知のとおり。譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われる。国税庁のまとめによると、今年6月までの1年間(2015事務年度)の譲渡所得調査は2万6811件に対して行われ、うち74.4%に当たる1万9941件から1548億円の申告漏れを把握した。 前事務年度に比べ、調査件数は10.6%減、申告漏れ等の非違件数は5.7%減と減少したものの、申告漏れ所得金額は3.2%増と増加した。申告漏れ割合についても前事務年度から3.9ポイント増加の74.4%だった。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は578万円(前事務年度500万円)となるが、この額は、同事務年度の所得税調査で把握された1件あたり平均の申告漏れ所得金額の135万円を大きく上回る。 調査の内訳をみると、株式等譲渡所得については、前事務年度比8.2%減の5839件の調査を実施。このうち79.7%に当たる4654件(前事務年度比5.0%減)から総額416億円(同26.1%増)の申告漏れ所得金額を把握した。また、土地建物等については、同1.3%減の2万972件の調査を実施し、このうち72.9%に当たる1万5287件(同5.9%減)から総額1133億円(同3.2%減)の申告漏れ所得金額を把握している。 事例をみると、実態の取引金額とは異なる契約書を作成して譲渡所得の一部を申告していなかったHの例がある。Hは、少しでも税金を安くするため、買主と共謀し、(1)実際の取引金額よりも安い金額を記載した契約書を作成するとともに、(2)支払事実のない譲渡費用について、買主の主宰法人に架空の領収書を発行させていたことが判明。Hには、申告漏れ所得金額約3000万円に対し、重加算税を含む約600万円の税額が追徴された。