配偶者控除を廃止し子育て世代支援の財源に~経済同友会

経済同友会は、2017年度税制改正に向けて、「未来の希望を拓く税制改革」と題した提言を発表し、専業主婦らを優遇する配偶者控除を廃止して、その廃止による約1兆円の税収増財源を子育て世代支援に充てることを求めた。また、財政健全化に資する税制との観点から、消費税率10%への引上げを2019年10月に着実に実施することや、さらに消費税率10%を超える引上げを早期に検討するよう要望した。

政府や与党の税制調査会では、2017年度税制改正に向けて配偶者控除の見直しを議論しており、配偶者控除に代えて共働き世帯にも控除を適用する「夫婦控除」を新たに導入する案が有力視されているが、同友会は、女性の勤労促進のため、配偶者控除(配偶者特別控除を含む)の完全廃止を提言した。その理由として、既婚女性が配偶者控除制度等を理由に勤労調整を行っている可能性を指摘している。

配偶者控除制度は1961年度税制改正で創設されたが、その後、この制度が女性の勤労を阻害する要因との見方もあり、配偶者特別控除が導入され、現行税制では、特定の所得以上になっても世帯の手取りが逆転しない仕組みとなっているといわれる。しかし、既婚女性の給与所得分布をみると、いずれの年齢層でも100万円付近が最も多くなっており、配偶者控除制度等を理由に勤労調整を行っている可能性は否めない。

そこで、配偶者控除等を廃止することで、勤労調整の要因を取り除くことができ、100万円付近で所得を調整している配偶者等のさらなる就労増が期待できるとしている。この配偶者控除廃止により生じる約1兆円の財源を「児童手当」の水準引上げなど子育て世代の支援に使うことを提案。税制面から、子育てに伴う経済的負担を軽減させ、安心して子供を産み育てることができる環境を作ることが重要との考えを示した。

消費税率引上げについては、2019年10月の着実な実施を求め、さらに、消費税率を10%に引き上げただけでは財政健全化を達成することは困難と指摘。さらなる必要な増収策の財源として、基幹税として国民が広く薄く負担する消費税が望ましいとの考えを示し、消費税率の10%を超える引上げを早期に検討することを求めた。その際は、中小企業の負担へ配慮しながら、毎年1%ずつ自動的に引き上げるスキームも排除しないとした。

経済同友会の税制改革の提言は↓
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2016/pdf/161003a.pdf