日商、「第三者承継」を後押しする税制の創設等を要望

日本商工会議所はこのほど「2020年度税制改正に関する意見」を取りまとめ発表した。意見書では、価値ある事業を次世代へつなぐ「第三者承継」を後押しする税制措置の創設や、事業承継税制の改善、エンジェル税制の拡充、中小企業の交際費課税特例の延長、少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度の延長・拡充のほか、消費税率引上げに伴う価格転嫁対策の推進及び需要平準化対策の着実な実施等を主張している。

事業承継の円滑化に向けた税制措置では、価値ある事業を次世代へつなぐ「第三者承継」を後押しする税制措置の創設として、後継者不在の中小企業の第三者承継を後押しするため、株式や事業用資産を譲渡する際の譲渡益課税の軽減措置等、事業を譲り渡す者に対するインセンティブ措置の創設、「経営力向上計画」に基づく再編・統合に係る登録免許税・不動産取得税の軽減措置の延長、有償取得営業権の一括償却措置等の創設などを求めた。

さらに、事業承継税制の改善のため、都道府県・税務署への提出書類の簡素化、書類提出の不備等に対する宥恕規定の明確化、適用要件の緩和(相続発生時における後継者に係る役員就任要件の撤廃等)など、また、分散した株式の集約促進のための税制措置等として、同族判定の範囲(6親等内の血族(はとこ)、3親等内の姻族(配偶者の甥・姪))の縮小、特例的評価方式(配当還元方式)での買取りを認めるべきだとした。

消費税率引上げ・軽減税率制度の導入への対応では、価格転嫁対策の推進、需要平準化対策の着実な実施による景気後退懸念の払しょくや、軽減税率対策補助金の柔軟な運用、軽減税率制度に関する広報・相談窓口の継続のほか、軽減税率制度は、依然として事業者から反対の声が根強いとして、これ以上軽減税率対象品目の拡大等によって制度を複雑化させることなく、軽減税率制度は、将来的にはゼロベースでの見直しが必要との考えを示した。

2023年10月から導入予定の適格請求書等保存方式(インボイス制度)については、全ての事業者に経理・納税方法の変更を強いるとともに、500万者を超える免税事業者が取引から排除されるおそれがあるなど、影響は極めて広範囲と指摘。軽減税率導入後の税額計算は、現行方式をベースとした「区分記載請求書等保存方式」で十分に対応可能だとして、インボイス制度の導入は、十分な期間を設け、廃止を含めて慎重に検討すべきと主張した。

日商の「2020年度税制改正に関する意見」は↓
https://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2019/0919160000.html