2025-05-19
国税庁は、2024年4月1日、「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」(※1)をホームページ上で公表した。この免税措置は、所在者不明土地の解消を目的として創設された制度であり、従来の適用期限は令和7年3月31日までとされていたが、令和7年度税制改正により、令和9年3月31日まで延長された。
土地の所有権移転登記には、本来、登録免許税が課される。税率は相続の場合は0.4%、売買や贈与の場合は2%である(※2)。課税標準は、原則として不動産の固定資産税評価額(※3)が用いられる。
登録免許税額=課税標準(不動産の固定資産税評価額)×0.4%
この登録免許税については、相続登記に限定して、以下の2つの免税措置が講じられている。
1.被相続人が登記前に死亡していた場合の免税措置
相続(相続人に対する遺贈を含む)により土地を取得した個人が、当該登記を行う前に死亡していた場合、令和9年3月31日までに、その死亡した個人を登記名義人とする所有権移転登記をする場合は、登録免許税が免除される。
また、当該個人が第三者に土地を譲渡していた場合であっても、購入した第三者がその個人を登記名義人とする相続登記を行う場合には、同様に免税措置の対象となる。
2.固定資産評価額100万円以下の土地に係る免税措置
土地1筆ごとに固定資産評価額が100万円以下である場合、保存登記または相続による所有権移転登記について、登録免許税が免除される。共有名義の土地については、持分に応じた評価額で判断される。
令和6年4月1日からは、相続登記が義務化されており、未登記土地の解消に向けた制度的整備が進められている。今回の免税措置の延長はその一環であるが、対象はあくまで「土地」に限り、建物は適用にならない点に注意が必要である。
なお、免税措置の適用を受けるためには、登記申請書に免税の根拠となる法令の条項を記載する必要がある。記載がない場合は免税措置が認められないため、制度の要件および手続については十分な注意が求められる。
(参考)法務局ホームページ「相続登記の免税措置について」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
※3:市長村役場で管理している固定資産台帳に登録された価格(固定資産台帳に登録がない場合は、登記官が認定した価格)