2026-05-18
国税庁は、このほど同庁のホームぺージで「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」と題し、「令和9年分以降の所得税について、事業所得又は不動産所得に係る、10万円控除要件が変わります!」(リーフレット)を公表した。
このリーフレットでは、令和8年度税制改正により、令和9年分以後の所得税から青色申告特別控除の10万円控除要件が変更されることが案内されている。
従来、青色申告特別控除は、複式簿記などを条件とする55万円控除・65万円控除と簡易簿記を条件とする10万円控除があり、なかでも10万円控除については簡易な帳簿付けを行う個人事業者や不動産業者によって広く利用されてきた。
今回の改正で注目されるのは、簡易簿記による10万円控除について、一定規模以上の事業者は適用対象外となる点である。
具体的には、その年の前々年分の不動産所得または事業所得に係る収入金額が1,000万円を超える場合、簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を受けられなくなる。
前々年分の収入金額が1,000万円以下であれば従来どおり簡易簿記による10万円控除を受けられることになる。
なお、不動産所得については、取扱いに注意が必要で収入区分が1,000万円を超えていたとしても、事業的規模に該当する場合のみ控除対象外となり、業務的規模(事業的規模に該当しないもの)に該当する場合は、改正前と同様に10万円控除を受けることができる(業務的規模の場合、複式簿記に移行したとしても、控除額は簡易簿記の場合と同様に最大10万円となる)。
リーフレットでは、対応策として「複式簿記+e-Tax送信」が推奨されている。
これは複式簿記で帳簿を作成し、電子申告(e-Tax)を行うことで65万円の控除を受けることができ、さらに「複式簿記+e-Tax送信」に加えて、請求書データ等の自動連携や訂正削除履歴など一定の条件を満たす優良な電子帳簿を作成、保存している場合は、最大75万円の控除を受けることができる。
リーフレットの裏面では複式簿記を始めるにあたって、会計ソフトを利用することで、日々の仕訳を簡単に行うことができるほか、損益計算書や貸借対照表を効率的に作成できるようになると利便性を説明している。
なかでもクラウド会計ソフトを利用することで、銀行口座との自動連携や請求書・レシートのスキャンといった機能を活用し、業務の効率化を図ることができる。
会計ソフトの導入に当たっては、デジタル化・AI導入補助金が活用でき、特に小規模事業者の場合は導入費用の最大80%が補助されると案内されている。
また、複式簿記を始めるにあたり記帳指導が受けられる指導機関として青色申告会、商工会・商工会議所を紹介するほか、税務署でも記帳に関する説明会を無料で行っていると案内されている。
なお、自分で学習したい場合は、帳簿の記帳のしかたに関する動画をYouTube「国税庁動画チャンネル」に掲載していると紹介している。
今回の改正は、簡易簿記から複式簿記への移行を推進するほか青色申告制度のデジタル化・高度化を象徴する見直しといえる。
(参考)10万円控除要件が変わります
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0026004-012.pdf

