2025-12-22
国税庁は12月4日、同庁ホームページの新着情報に「売り手も買い手もスッキリ楽々‼「デジタルインボイス」」(チラシ)を掲載した。
デジタルインボイスとは、「Peppol(ペポル)」という国際規格に準拠し、標準化された電子インボイスのことを指し、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当する。
このPeppol(ペポル)は、「Pan European Public Procurement Online」の略で、ヨーロッパやオーストラリアなど世界約40か国以上で採用されている電子文書の「文書の仕様」、「運用ルール」、「ネットワーク」に関する標準規格である。
我が国ではインボイス制度を導入するにあたり、このPeppolをベースとした、デジタルインボイスの標準仕様「JP PINT」を策定しており、デジタル庁が管理している。
Peppolの規格に対応したデジタルインボイスを使用することで、これまで紙で行っていた際の請求書の確認・入力や保管等の手間が減少するだけでなく、売り手と買い手で会計システムが異なっている場合でも、このデジタルインボイスにより会計データを自動処理することができるため、作業時間の短縮やヒューマンエラーの防止につながることになる。
デジタルインボイスにおける売り手と買い手との間における事務処理のイメージは、以下のとおりである。
1 売り手から買い手に対してデジタルインボイス(Peppol)を送信する。
2 買い手は、デジタルインボイスの請求データに基づき、支払処理を実施する。
3 支払処理後、全銀EDIシステム(ZEDIと呼ばれる全国銀行資金決済ネットワークが提供するデータ連携システム)を通じて買い手から売り手に請求データが含まれたデジタルインボイスの支払データとして送信される。
4 売り手は、支払データを入金データとして受け取り、入金データに含まれている請求データと買い手に送信した請求データの突合を行うことで自動消込が行われる。
このようにやりとりが全てデータとなるため、紙の請求書で必要な様々な処理(印刷、封入など)が不要となり、売り手と買い手双方の経理業務の自動化・効率化につながることになる。
デジタルインボイスを導入するには、次の3つのステップを行うことになる。
1 デジタルインボイスに対応した会計ソフトを確認し、導入を行う。
2 デジタル庁に認定を受けたPeppolサービスプロバイダーから「Peppol ID」を取得する。
3 取引先のPeppol IDの収集を行い、取引先への送信方法の変更について案内等を行った上で取引を開始する。
現在、30社以上の会計ソフト等がデジタルインボイスに対応しており、既に導入済みの企業もあり、今後、ますます普及していくことが見込まれている。
なお、デジタルインボイスに対応した会計ソフトを導入するにあたっては、IT導入補助金も利用できることから、導入を検討している企業は、補助金の利用も検討するとよいだろう。
(参考1)売り手も買い手もスッキリ楽々‼「デジタルインボイス」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/jigyousyadx/pdf/03.pdf
(参考2)「事業者のデジタル化促進」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/jigyousyadx.htm
(参考3)「IT導入補助金」ホームページ

