2025-11-06
厚生労働省は、このほど「令和7年10月から「教育訓練休暇給付金」が創設されます。」を同省のホームページ上で公表した。
教育訓練休暇給付金は、令和7年10月からスタートした新しい制度で、教育訓練を受けるための休暇を取得した人に対して、訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、失業給付に相当する給付として賃金の一定割合を支給する制度である。
これまで従業員のスキルアップを支援する制度としては、国や地方自治体がリスキリングの支援を目的とした補助金や助成金を支給しているが、基本的には就業している従業員が対象の制度となっていた。
そのため、これまで従業員が教育訓練等に専念するため休暇を取得し、仕事を離れたことで収入が途絶えた場合、生活費の保障がなく、中途であきらめざるを得ないケースや休暇取得を躊躇するケースが少なくなかった。
教育訓練休暇給付金は、このような状況を改善するため、新しく創設された。
この新しい給付金を活用できる事例としては、
・外国企業とのコミュニケーションが必要となる部署へ異動を想定し、語学の習得に専念するため、教育訓練休暇を取得することで給付金を活用するケース
・IT企業で働いている労働者が、上位資格取得のため、教育訓練休暇を取得することで給付金を活用するケース
などがある。
給付金の支給対象者は、雇用保険の一般被保険者として
・休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
・休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること
のいずれの要件も満たす必要がある。
また、支給対象となる休暇は、
1 就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
2 労働者本人が教育訓練のための自発的な休暇取得を希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇
3 次に定める教育訓練等を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、専修学校または各種学校などが提供する教育訓練等
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
の要件をすべて満たすこととなっており、事業者は就業規則等で教育訓練休暇制度を定める必要がある。受給期間は、休暇開始から起算して1年間であり、受給期間内において教育訓練休暇を取得した日について給付を受けられることになる。
給付日数については、雇用保険に加入していた期間に応じて異なっており、最大で150日取得できることになっている。
給付金の手続きを行うには、事業者と労働者において教育訓練休暇についての合意が必要であり、その上で事業者が必要書類を添えてハローワークに申請することとなる。
なお、解雇等を予定している労働者は、給付金の支給対象者とはならないことから、解雇を予定している労働者について虚偽の届出を行った場合は、事業主が罰則の対象となるため注意が必要である。
(参考)令和7年10月から「教育訓練休暇給付金」が創設されます

