行政手続における悉皆調査の結果(令和6年)と今後の調査

デジタル庁は、8月25日、ホームページで「事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議(第8回)の資料等」を公表し、同会議の資料で、「行政手続の悉皆調査の結果(令和6年)と今後の調査について」を公表した。
 
この調査は、オンライン化等による行政サービス全体の利便性向上に向けて、行政手続等の実態を詳細に把握するために実施したもので、調査対象機関は、国の行政機関(26府省等)に対し、個別手続ごとに「法令を所管する府省」又は「手続を実施する府省」としたものである。
 
調査期間は、フェーズ1が、令和6年10月~令和6年12月、フェーズ2が令和6年12月~令和7年6月であった。
 
調査結果からは、オンライン実施状況(令和3年度調査との比較)、手続種類数と年間件数の関係、オンライン申請の実現方法、オンライン化されていない要因、オンライン化のポイント等が明らかにされており、今後、デジタル庁として事業者から地方自治体への行政手続についても、e-Gov等を利用した申請のオンライン化を支援していくとしている。
 
オンライン実施状況(令和3年度調査との比較)については、令和6年度調査において、生成AIを用いて法令データを精査した結果、令和3年度と比較して追加で約1万件の手続が検出され、約7.5万種類の行政手続数となっており、オンラインで行える行政手続の割合(オンライン化率)は、令和3年度では約3割だったが、令和6年度では約5割に増加している。また、オンラインで申請が可能な手続のうち、実際にオンラインで申請された件数の割合(オンライン利用率)は令和3年で約6割だったものが、令和6年度では約8割に増加している。
 
手続種類数と年間件数の関係については、年間件数が1万件以上の手続種類数は全体の2.3%だが、全ての手続種類数の年間件数の全体の99.8%を占めており、年間件数が100万件以上の手続では、オンライン化率、オンライン利用率ともに8割を超えている。
 
オンライン申請の実現方法については、オンライン化されている手続のうち約6割は府省システムを通じて行われ、約4割はメールで行われており、オンラインで処理可能な手続の種類が最も多いシステムは、今後実施予定を含めると「電子政府の総合窓口システム(e-Gov)」となっている。また、年間のオンライン手続件数が多いのは「輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)」「電子政府の総合窓口システム(e-Gov)」の順となっている。
 
オンライン化されていない要因としては、オンライン化されていない手続の種類で見た場合、4割の手続が「オンライン化の費用対効果が小さい又は不明」と各行政機関が回答しており、一方、手続件数ベースでは「オンライン化実施予定」が約5割となっており、「オンライン化の費用対効果が小さい又は不明」が約2割となっている。
 
オンライン化のポイントについては、①手数料の納付方法と、②添付書類を求める手続が示されており、①手数料の納付方法については、手数料納付が必要な手続のうち、手続種類数ではオフライン納付のみの手続が約6割を占める一方で、年間件数ベースでは5割弱となっており、オンライン納付手段としてはペイジー(ネットバンキング)、クレジットカードが多くなっている。②添付書類を求める手続については、戸籍を求める手続はオンライン化率が低い(約4割)一方で、決算書を求める手続はオンライン化率が高くなっており(約8割)、他の添付書類を求める手続は約5~6割のオンライン化率となっている。
 
(参考)事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議(第8回)

https://www.digital.go.jp/councils/private-business-dx/578b4dd0-db54-44da-9850-d76a6248c27f