2025-06-27
中小企業庁は6月11日、令和6年度における下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)の運用状況について取りまとめ、公表した。
1 下請事業者等に対するオンライン調査の状況
同庁及び公正取引委員会(以下「公取」という。)は、下請事業者の保護及び取引の公正を図るため、協力してそれぞれが下請法の執行にあたっている。その一環として、親事業者及び下請事業者を対象に定期的にオンライン調査を実施し、一般的にその取引の性格から自発的に違反行為を申告しにくいとされる下請事業者に対するプッシュ型の状況把握、下請法の違反行為が認められた親事業者に対する違反行為の是正を行っている。下請取引の内容については、必ずしも恒常的に同一の取引状態であるとは限らないことから、下請事業者の利益保護を図るため、公取とともに毎年継続的に調査を実施して違反行為の発見につながる情報収集に努めているとしている。
同庁では、令和6年度に親事業者5.5万者、当該事業者と取引を行う下請事業者24万者に対して調査を実施し、親事業者に対する調査において、下請法違反のおそれのある5,801者に対して、是正等を求める注意喚起文書を発出している。
2 立入検査による違反行為の確認と改善指導の状況
同庁では、下請法違反の可能性がある親事業者に対し立入検査を実施しており、令和6年度は703者に立入検査を行った結果、1,321件の違反行為を確認し、584者に対して改善指導を実施している。違反行為の内容としては、禁止行為の違反として支払遅延が189件、下請代金の減額が139件、買いたたきが106件認められ、改善指導の対象となっており、この3類型で禁止行為違反の87%を占めている。
また、改善指導のフォローアップとして、前年度以前の案件を含め、親事業者から594件の改善報告が行われている。
3 下請代金の返還
改善報告を提出した親事業者594者のうち201者が、下請事業者4,951者に対して、減額した下請代金の返還や支払遅延にかかる遅延利息の支払など、総額約1億5,700万円の原状回復を行っている。このうち1件は公取に対して措置請求を行った事案であり、下請事業者9名に対して約6,700万円が返還されている。
また、親事業者から下請法違反行為の自発的な申出が16件あり、下請事業者1,376者に対し、下請代金の減額分の返還等、総額約5億4,400万円の原状回復が行われている。
(参考)「令和6年度における下請代金支払遅延等防止法に基づく取組」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250611.html